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商法(会社法)の論点一覧 全55論点

商法(会社法)の論点解説では、株主総会決議の瑕疵、取締役の善管注意義務・経営判断原則・利益相反取引、423条・429条の責任、新株発行、事業譲渡などを扱います。会社法は条文数が多く引用ミスが失点につながるため、各論点で根拠条文と判例の規範を明示し、答案で「条文→要件→判例の基準→あてはめ」の順に論じられるよう整理しています。

キツネ

第1章 設立・株式

第2章 機関

株主総会決議の瑕疵を争う訴えには、決議取消しの訴え(会社法831条)、決議無効確認の訴え(830条2項)、決議不存在確認の訴え(830条1項)があり、瑕疵の種類に応じて使い分ける。経営判断原則とは、取締役の経営上の判断について、判断の過程と内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反とならないとする法理である。株主総会決議の瑕疵は平成23年から令和5年まで毎年、経営判断原則は平成23・25・26・28・30年、令和元〜5年、利益相反取引は平成23・24・26・28・29年、令和元・3・4・5年に出題されており、機関は会社法論文の最頻出分野である。答案では、決議の瑕疵について、招集手続・決議方法の法令定款違反や特別利害関係人の著しく不当な議決権行使は取消事由、決議内容の法令違反は無効事由、招集通知が全くないなど著しい手続的瑕疵は不存在と区別し、提訴期間(3か月)や裁量棄却(831条2項)まで書く。取締役の義務については、善管注意義務(330条・民法644条)と忠実義務(355条)が同質であることを前提に、経営判断原則では①判断の前提となる事実認識に不注意な誤りがないか、②意思決定の過程・内容が著しく不合理でないかを審査する(最判平22.7.15参照)。利益相反取引では直接取引(356条1項2号)と間接取引(同3号)を区別し、承認を欠く取引は相対的無効(最大判昭46.10.13)、任務懈怠の推定(423条3項)を論じる。よくあるミスは、取消事由と無効事由を混同して提訴期間を落とすこと、経営判断原則で結果の損害から逆算して義務違反を認めること、利益相反取引の効力と取締役の責任を区別せずに書くことである。

Q株主総会決議の取消し・無効・不存在の違いは?+

招集手続・決議方法の法令定款違反、決議内容の定款違反、特別利害関係人の著しく不当な議決権行使は取消事由(831条・決議から3か月以内)。決議内容の法令違反は無効事由(830条2項・期間制限なし)。全株主への招集通知漏れなど著しい手続的瑕疵は不存在(830条1項)となる。

Q経営判断原則とは?+

取締役の経営上の判断について、判断の過程(情報収集・分析・検討)と内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反とならないとする法理である。①前提となる事実認識に不注意な誤りがないか、②意思決定の過程・内容が著しく不合理でないかを審査する(最判平22.7.15参照)。

Q取締役会の承認がない利益相反取引の効力は?+

取締役会の承認を得ない直接取引は相対的無効であり、会社は善意の第三者に無効を主張できない(最大判昭46.10.13)。間接取引も第三者が関与するのが通常なので同様に相対的無効と解する。取引で会社に損害が生じれば任務懈怠が推定される(423条3項)。

Q取締役会決議を経ない代表取締役の行為は有効?+

代表権は包括的で(349条4項)、その内部的制限は善意の第三者に対抗できない(349条5項類推)ため、取締役会決議を欠く重要な業務執行も原則として有効である。相手方が決議を欠くことを知り又は知りうべきであった場合に限り無効となる。

第3章 取締役の責任

取締役の責任とは、取締役が任務を怠ったことにより会社や第三者に生じた損害を賠償する責任をいう。任務懈怠責任とは、取締役がその任務を怠ったときに株式会社に対して生じた損害を賠償する責任であり(会社法423条1項)、「任務を怠った」とは善管注意義務・忠実義務・法令遵守義務等に違反したことをいう。第三者に対する責任とは、役員等が職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときに第三者に生じた損害を賠償する責任である(429条1項)。任務懈怠責任はほぼ全年度で、第三者に対する責任は平成23・25・27・29年、令和元・3・5年に、株主代表訴訟は平成23・24・26・28・30年、令和2・4年に出題されており、機関の論点と結びついて会社法論文の締めとなる。答案では、423条1項について任務懈怠・損害・因果関係の要件を立て、任務懈怠の内容を善管注意義務違反(経営判断原則の審査)、忠実義務違反、法令違反に分けて具体的に特定する。唯一の株主の意向に沿った行為でも、義務は会社に対して負うものである以上任務懈怠が認められうる点、適法な選任手続を経ていない事実上の取締役にも423条1項が類推適用されうる点も押さえる。429条1項については、最大判昭44.11.26に従い法定責任説を採り、任務懈怠と第三者の損害との相当因果関係を要件とし、直接損害と間接損害の両方を含むことを示したうえで、名目的取締役の監視義務違反や民法709条との請求権競合を論じる。よくあるミスは、任務懈怠を「損害が出たから」と結果から認定すること、429条の悪意・重過失の対象を第三者への加害ではなく任務懈怠について判断すべき点を誤ること、代表訴訟の提訴請求手続を飛ばして株主が直接訴えられると書くことである。

Q取締役の任務懈怠責任(423条1項)の要件は?+

①任務懈怠(善管注意義務・忠実義務・法令遵守義務等の違反)、②会社の損害、③両者の相当因果関係が必要である。唯一の株主の意向に沿った行為でも、義務は会社に対して負うものであるため、会社に損害を与えうる行為には任務懈怠が認められうる。

Q会社法429条1項の責任の性質は?+

最大判昭44.11.26は、取締役の社会的影響力の大きさから第三者保護のために不法行為責任とは別個に定められた法定の特別責任と解する(法定責任説)。任務懈怠について悪意・重過失があり、第三者の損害と相当因果関係があれば、直接損害・間接損害のいずれも賠償対象となる。

Q株主代表訴訟を提起する要件は?+

6か月前から引き続き株式を有する株主が、会社に対し書面で取締役の責任追及の訴えの提起を請求し、会社が60日以内に訴えを提起しないときに自ら提起できる(847条1項・3項)。会社が提起しない場合は請求により不提訴理由を通知しなければならない(847条4項)。

Q取締役の責任は免除できる?+

423条1項の責任は総株主の同意がなければ免除できない(424条)。善意無重過失の場合に限り、株主総会の特別決議で最低責任限度額を超える部分を一部免除できる(425条)。社外取締役等は定款に基づき責任限定契約を締結できる(427条)。

第4章 資金調達

第5章 組織再編・事業譲渡

第6章 手形・小切手(参考)