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内部統制システムの構築・運用義務(362条5項・4項6号)と取締役の責任(大阪地判平12.9.20)

取締役・取締役会出題年度:平成28

内部統制システムの構築・運用義務と取締役の責任は、商法(会社法)(機関)の論点です。大会社等の取締役は、内部統制システム(業務の適正を確保するための体制)の構築・運用義務を負うか。また、内部統制システムが機能しなかった場合の取締役の責任はいかに解すべきか。 判例・通説の規範は「【内部統制システムの構築義務(362条4項6号・5項)】」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成28年に問われています。

問題の所在

大会社等の取締役は、内部統制システム(業務の適正を確保するための体制)の構築・運用義務を負うか。また、内部統制システムが機能しなかった場合の取締役の責任はいかに解すべきか。

規範(判例・通説の定式)

【内部統制システムの構築義務(362条4項6号・5項)】

大会社(5億円以上の資本金又は200億円以上の負債)の取締役会は、取締役の職務の執行が法令・定款に適合することを確保するための体制その他会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制(内部統制システム)の整備に関する決定をしなければならない(362条4項6号・5項)。

【内部統制システムの運用義務と任務懈怠(大阪地判平12.9.20等)】

取締役は、内部統制システムを形式的に整備するだけでなく、これを適切に運用して会社の業務の適正を確保する義務(善管注意義務・423条1項)を負う。内部統制システムの整備・運用が不十分であったことにより第三者による不正行為(横領等)が発生した場合、取締役は任務懈怠責任を負いうる。

【信頼の原則による免責】

担当取締役への業務委任・監視体制が適切に整備されていた場合、他の取締役は「信頼の原則」により個々の業務執行についての確認義務を免れ、担当取締役の不正が発覚しなかったことについて任務懈怠を問われない場合がある(ただし担当取締役の不正の兆候を認識していた場合は別論)。

答案での書き方(法的三段論法)

  1. 1

    問題提起

    大会社等の取締役は、内部統制システム(業務の適正を確保するための体制)の構築・運用義務を負うか。また、内部統制システムが機能しなかった場合の取締役の責任はいかに解すべきか。

  2. 2

    規範

    上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。

  3. 3

    あてはめ

    問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。

  4. 4

    結論

    「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。

自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。

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出題実績と演習

よくある質問

Q大会社等の取締役は、内部統制システム(業務の適正を確保するための体制)の構築・運用義務を負うか。+

【内部統制システムの構築義務(362条4項6号・5項)】

Q「内部統制システムの構築・運用義務と取締役の責任」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+

平成28年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。

Q株主総会決議の取消し・無効・不存在の違いは?+

招集手続・決議方法の法令定款違反、決議内容の定款違反、特別利害関係人の著しく不当な議決権行使は取消事由(831条・決議から3か月以内)。決議内容の法令違反は無効事由(830条2項・期間制限なし)。全株主への招集通知漏れなど著しい手続的瑕疵は不存在(830条1項)となる。

Q経営判断原則とは?+

取締役の経営上の判断について、判断の過程(情報収集・分析・検討)と内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反とならないとする法理である。①前提となる事実認識に不注意な誤りがないか、②意思決定の過程・内容が著しく不合理でないかを審査する(最判平22.7.15参照)。

Q取締役会の承認がない利益相反取引の効力は?+

取締役会の承認を得ない直接取引は相対的無効であり、会社は善意の第三者に無効を主張できない(最大判昭46.10.13)。間接取引も第三者が関与するのが通常なので同様に相対的無効と解する。取引で会社に損害が生じれば任務懈怠が推定される(423条3項)。