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親会社の圧力下での経営判断と利益相反構造(善管注意義務の修正)

取締役・取締役会出題年度:令和4

親会社の圧力下での経営判断と利益相反構造は、商法(会社法)(機関)の論点です。親会社の代表取締役から利益を示されて圧力をかけられた子会社の代表取締役が、子会社の利益にならない取引をした場合、経営判断原則が適用されるか。利益相反構造のある場合の善管注意義務の判断基準が問題となる。 判例・通説の規範は「通常、取締役の経営上の判断には経営判断原則が適用される(→4-2参照)。しかし、利益相反が存在する場合(親会社の利益のために子会社に不利な取引を行う場合)には、経営判断原則の適用が…」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和4年に問われています。

問題の所在

親会社の代表取締役から利益を示されて圧力をかけられた子会社の代表取締役が、子会社の利益にならない取引をした場合、経営判断原則が適用されるか。利益相反構造のある場合の善管注意義務の判断基準が問題となる。

規範(判例・通説の定式)

通常、取締役の経営上の判断には経営判断原則が適用される(→4-2参照)。しかし、利益相反が存在する場合(親会社の利益のために子会社に不利な取引を行う場合)には、経営判断原則の適用が修正される。

①構造的利益相反:親会社が子会社の多数株主である関係上、親会社の利益が優先されるおそれがあり、少数株主の利益が害されるおそれがある(構造的利益相反)。

②具体的利益相反:取締役が自己の地位(再任)を確保するために親会社の意向に従う圧力がかかっている場合、通常の経営判断ではなく取締役の個人的利益が会社の利益と相反する状況が生じる。

このような利益相反がある場合、善管注意義務・忠実義務の観点から、通常の経営判断原則よりも厳格な審査がなされ、取締役は子会社の利益のために独立した判断をすべきであったかが問われる。

あてはめのポイント

デュー・ディリジェンスの省略:通常であれば経営判断の一つとして許容されうるが、①DDの必要性を示す情報(在庫価値下落・知財問題)を認識しながら②親会社の圧力を理由に省略した場合→判断過程の著しい不合理として善管注意義務違反を認定しやすくなる。

答案での書き方(法的三段論法)

  1. 1

    問題提起

    親会社の代表取締役から利益を示されて圧力をかけられた子会社の代表取締役が、子会社の利益にならない取引をした場合、経営判断原則が適用されるか。利益相反構造のある場合の善管注意義務の判断基準が問題となる。

  2. 2

    規範

    上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。

  3. 3

    あてはめ

    問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。

  4. 4

    結論

    「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。

自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。

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出題実績と演習

よくある質問

Q親会社の代表取締役から利益を示されて圧力をかけられた子会社の代表取締役が、子会社の利益にならない取引をした場合、経営判断原則が適用されるか。+

通常、取締役の経営上の判断には経営判断原則が適用される(→4-2参照)。しかし、利益相反が存在する場合(親会社の利益のために子会社に不利な取引を行う場合)には、経営判断原則の適用が修正される。

Q「親会社の圧力下での経営判断と利益相反構造」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+

令和4年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。

Q株主総会決議の取消し・無効・不存在の違いは?+

招集手続・決議方法の法令定款違反、決議内容の定款違反、特別利害関係人の著しく不当な議決権行使は取消事由(831条・決議から3か月以内)。決議内容の法令違反は無効事由(830条2項・期間制限なし)。全株主への招集通知漏れなど著しい手続的瑕疵は不存在(830条1項)となる。

Q経営判断原則とは?+

取締役の経営上の判断について、判断の過程(情報収集・分析・検討)と内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反とならないとする法理である。①前提となる事実認識に不注意な誤りがないか、②意思決定の過程・内容が著しく不合理でないかを審査する(最判平22.7.15参照)。

Q取締役会の承認がない利益相反取引の効力は?+

取締役会の承認を得ない直接取引は相対的無効であり、会社は善意の第三者に無効を主張できない(最大判昭46.10.13)。間接取引も第三者が関与するのが通常なので同様に相対的無効と解する。取引で会社に損害が生じれば任務懈怠が推定される(423条3項)。