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事実上の取締役の任務懈怠責任(423条1項類推)
事実上の取締役の任務懈怠責任は、商法(会社法)(取締役の責任)の論点です。適法な選任手続を経ずに取締役として行動している者(事実上の取締役)は、会社法423条1項(任務懈怠責任)の「取締役」に当たるか。 判例・通説の規範は「【問題の所在】」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成26年に問われています。
問題の所在
適法な選任手続を経ずに取締役として行動している者(事実上の取締役)は、会社法423条1項(任務懈怠責任)の「取締役」に当たるか。
規範(判例・通説の定式)
【問題の所在】
会社法上の「取締役」とは、適法に選任された者をいうため、選任手続に重大な瑕疵がある者(無効・不存在)は形式的には「取締役」ではない。代表取締役として行動し、対外的・対内的に取締役と同様の権限を行使している「事実上の取締役」に423条1項を直接適用することは難しい。
【類推適用肯定の根拠】
事実上の取締役は、①実際に会社経営の意思決定・業務執行を行っており、②正式取締役と同様の外観を呈している以上、正式な取締役と同視して423条1項を類推適用し、会社に対して任務懈怠責任を負わせることができる(通説・判例的立場)。会社の形式的な選任瑕疵を理由に責任を免れることは衡平に反する。
【任務懈怠の内容】
取締役会の決議を欠く多額の借入れ(362条4項2号)・重要な財産の処分(362条4項1号)等を独断で行い、会社に損害を生じさせたことが任務懈怠となる。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
適法な選任手続を経ずに取締役として行動している者(事実上の取締役)は、会社法423条1項(任務懈怠責任)の「取締役」に当たるか。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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よくある質問
Q適法な選任手続を経ずに取締役として行動している者(事実上の取締役)は、会社法423条1項(任務懈怠責任)の「取締役」に当たるか。+
【問題の所在】
Q「事実上の取締役の任務懈怠責任」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成26年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q取締役の任務懈怠責任(423条1項)の要件は?+
①任務懈怠(善管注意義務・忠実義務・法令遵守義務等の違反)、②会社の損害、③両者の相当因果関係が必要である。唯一の株主の意向に沿った行為でも、義務は会社に対して負うものであるため、会社に損害を与えうる行為には任務懈怠が認められうる。
Q会社法429条1項の責任の性質は?+
最大判昭44.11.26は、取締役の社会的影響力の大きさから第三者保護のために不法行為責任とは別個に定められた法定の特別責任と解する(法定責任説)。任務懈怠について悪意・重過失があり、第三者の損害と相当因果関係があれば、直接損害・間接損害のいずれも賠償対象となる。
Q株主代表訴訟を提起する要件は?+
6か月前から引き続き株式を有する株主が、会社に対し書面で取締役の責任追及の訴えの提起を請求し、会社が60日以内に訴えを提起しないときに自ら提起できる(847条1項・3項)。会社が提起しない場合は請求により不提訴理由を通知しなければならない(847条4項)。