CORPORATE LAW
第三者に対する損害賠償責任(429条1項)
第三者に対する損害賠償責任は、商法(会社法)(取締役の責任)の論点です。取締役の行為により第三者が損害を被った場合、429条1項に基づく責任が認められるか。直接損害と間接損害の区別が問題となる。 判例・通説の規範は「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(429条1項)。」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成23年・平成25年・平成27年・平成29年などに問われています。
問題の所在
取締役の行為により第三者が損害を被った場合、429条1項に基づく責任が認められるか。直接損害と間接損害の区別が問題となる。
規範(判例・通説の定式)
役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(429条1項)。
429条1項は、取締役の任務懈怠と第三者の損害との間に相当因果関係がある場合に適用される。第三者が被る損害は、①直接損害(取締役の行為が直接第三者の法益を侵害する場合)と②間接損害(会社に損害が生じ、その結果として第三者が損害を被る場合)の両方を含む(最大判昭44.11.26)。
あてはめのポイント
名目的取締役(登記だけされて実際には経営に関与していない取締役):監視義務違反として429条1項の責任を負いうる。取締役が第三者に対して不法行為責任(民法709条)を負う場合、429条1項との請求権競合が認められる。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
取締役の行為により第三者が損害を被った場合、429条1項に基づく責任が認められるか。直接損害と間接損害の区別が問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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出題実績と演習
よくある質問
Q取締役の行為により第三者が損害を被った場合、429条1項に基づく責任が認められるか。+
役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(429条1項)。
Q「第三者に対する損害賠償責任」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成23年・平成25年・平成27年・平成29年・令和元年・令和3年・令和5年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q取締役の任務懈怠責任(423条1項)の要件は?+
①任務懈怠(善管注意義務・忠実義務・法令遵守義務等の違反)、②会社の損害、③両者の相当因果関係が必要である。唯一の株主の意向に沿った行為でも、義務は会社に対して負うものであるため、会社に損害を与えうる行為には任務懈怠が認められうる。
Q会社法429条1項の責任の性質は?+
最大判昭44.11.26は、取締役の社会的影響力の大きさから第三者保護のために不法行為責任とは別個に定められた法定の特別責任と解する(法定責任説)。任務懈怠について悪意・重過失があり、第三者の損害と相当因果関係があれば、直接損害・間接損害のいずれも賠償対象となる。
Q株主代表訴訟を提起する要件は?+
6か月前から引き続き株式を有する株主が、会社に対し書面で取締役の責任追及の訴えの提起を請求し、会社が60日以内に訴えを提起しないときに自ら提起できる(847条1項・3項)。会社が提起しない場合は請求により不提訴理由を通知しなければならない(847条4項)。