CORPORATE LAW
役員の解任の訴え(854条)と少数株主の保護
役員の解任の訴えと少数株主の保護は、商法(会社法)(機関)の論点です。株主総会決議による役員解任議案が否決された場合でも、役員に不正行為等があるときは、少数株主は裁判所に役員の解任を申立てることができるか(役員の解任の訴え・854条)。 判例・通説の規範は「【役員の解任の訴えの要件(854条1項)】」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成28年に問われています。
問題の所在
株主総会決議による役員解任議案が否決された場合でも、役員に不正行為等があるときは、少数株主は裁判所に役員の解任を申立てることができるか(役員の解任の訴え・854条)。
規範(判例・通説の定式)
【役員の解任の訴えの要件(854条1項)】
役員(取締役・会計参与・監査役・執行役等)に①職務の執行に関し不正の行為又は法令・定款違反の重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において②否決されたとき、少数株主は裁判所に当該役員の解任を請求できる(854条1項)。
【少数株主権の要件】
①総株主の議決権の100分の3以上の議決権、又は②発行済株式の100分の3以上の株式を有すること(6か月保有要件は854条では不要・同条参照)。
【「不正の行為」・「重大な事実」(854条1項2号)】
「不正の行為」とは、取締役の職務の執行において法令・定款に違反する行為、又は会社の利益に著しく反する行為をいう。「法令若しくは定款に違反する重大な事実」とは、善管注意義務違反・忠実義務違反(355条)等の違反であって軽微でないものをいう。
【339条2項との関係】
株主総会の決議によって解任された場合には339条2項の損害賠償(正当な理由のない解任)が問題となるが、854条による裁判所の判決による解任の場合には、正当な理由があるから339条2項の賠償責任は生じない。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
株主総会決議による役員解任議案が否決された場合でも、役員に不正行為等があるときは、少数株主は裁判所に役員の解任を申立てることができるか(役員の解任の訴え・854条)。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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よくある質問
Q株主総会決議による役員解任議案が否決された場合でも、役員に不正行為等があるときは、少数株主は裁判所に役員の解任を申立てることができるか(役員の解任の訴え・854+
【役員の解任の訴えの要件(854条1項)】
Q「役員の解任の訴えと少数株主の保護」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成28年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q株主総会決議の取消し・無効・不存在の違いは?+
招集手続・決議方法の法令定款違反、決議内容の定款違反、特別利害関係人の著しく不当な議決権行使は取消事由(831条・決議から3か月以内)。決議内容の法令違反は無効事由(830条2項・期間制限なし)。全株主への招集通知漏れなど著しい手続的瑕疵は不存在(830条1項)となる。
Q経営判断原則とは?+
取締役の経営上の判断について、判断の過程(情報収集・分析・検討)と内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反とならないとする法理である。①前提となる事実認識に不注意な誤りがないか、②意思決定の過程・内容が著しく不合理でないかを審査する(最判平22.7.15参照)。
Q取締役会の承認がない利益相反取引の効力は?+
取締役会の承認を得ない直接取引は相対的無効であり、会社は善意の第三者に無効を主張できない(最大判昭46.10.13)。間接取引も第三者が関与するのが通常なので同様に相対的無効と解する。取引で会社に損害が生じれば任務懈怠が推定される(423条3項)。