CORPORATE LAW
表見代表取締役(354条)
表見代表取締役は、商法(会社法)(機関)の論点です。代表権のない取締役が「社長」「副社長」等の肩書を付されていた場合、相手方は表見代表取締役の規定により保護されるか。 判例・通説の規範は「株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対して責任を負う(…」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成25年・平成28年・令和4年に問われています。
問題の所在
代表権のない取締役が「社長」「副社長」等の肩書を付されていた場合、相手方は表見代表取締役の規定により保護されるか。
規範(判例・通説の定式)
株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対して責任を負う(354条)。354条は権利外観法理に基づく規定であり、会社側の帰責性(名称使用の許諾又は黙認)が必要である。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
代表権のない取締役が「社長」「副社長」等の肩書を付されていた場合、相手方は表見代表取締役の規定により保護されるか。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
あわせて読みたい論点
この論点の前提になる論点や、対になる論点です。
機関/取締役・取締役会
取締役会決議を欠く代表取締役の行為の効力機関/取締役・取締役会
多額の借財と代表取締役の権限外行為の効力
さらに学びたい人へ(おすすめ教材)
この論点の理解を深める教材です。リンクにはアフィリエイトリンクを含みます(価格は変わりません)。
講座
アガルート 重要問題習得講座(重問) ↗信頼できる答案例が付いた網羅的な演習書。解答例を問題提起・理由付け・規範・あてはめ・結論の5色に塗り分けて周回する。憲法・刑法以外の論文の軸。
講座
アガルート 短答知識完成講座Ⅱ(下4法) ↗下4法の短答対策。過去問と判例六法のマーキングをセットで進めるための講座。
講座
アガルート 判例百選スピード攻略講座 ↗百選を問題集として使い、その判例が論文で出たらどう書くかを示す講座。インプットとアウトプットを同時にできる。特に行政法・民訴・会社法・刑訴で効果が大きい。
講座
アガルート 論証集の使い方講座 ↗論証集は書き換えず、5色に塗って可視化して使うのが基本。作成者本人が行間を説明する講座で、読みにくい部分の理解が進む。
出題実績と演習
よくある質問
Q代表権のない取締役が「社長」「副社長」等の肩書を付されていた場合、相手方は表見代表取締役の規定により保護されるか。+
株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対して責任を負う(354条)。354条は権利外観法理に基づく規定であり、会社側の帰責性(名称使用の許諾又は黙認)が必要である。
Q「表見代表取締役」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成25年・平成28年・令和4年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q株主総会決議の取消し・無効・不存在の違いは?+
招集手続・決議方法の法令定款違反、決議内容の定款違反、特別利害関係人の著しく不当な議決権行使は取消事由(831条・決議から3か月以内)。決議内容の法令違反は無効事由(830条2項・期間制限なし)。全株主への招集通知漏れなど著しい手続的瑕疵は不存在(830条1項)となる。
Q経営判断原則とは?+
取締役の経営上の判断について、判断の過程(情報収集・分析・検討)と内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反とならないとする法理である。①前提となる事実認識に不注意な誤りがないか、②意思決定の過程・内容が著しく不合理でないかを審査する(最判平22.7.15参照)。
Q取締役会の承認がない利益相反取引の効力は?+
取締役会の承認を得ない直接取引は相対的無効であり、会社は善意の第三者に無効を主張できない(最大判昭46.10.13)。間接取引も第三者が関与するのが通常なので同様に相対的無効と解する。取引で会社に損害が生じれば任務懈怠が推定される(423条3項)。