CORPORATE LAW
否決決議の取消しの可否(最判平28.3.4)
否決決議の取消しの可否は、商法(会社法)(機関)の論点です。株主総会において議案が否決された場合、831条1項の決議取消しの訴えを提起できるか。「決議取消しの訴え」の対象に「否決決議」が含まれるかが問題となる。 判例・通説の規範は「株主総会の決議取消しの訴え(831条1項)における「決議」とは可決決議を指し、否決決議はその対象に含まれない(最判平28.3.4・民集70巻3号593頁)。」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成30年に問われています。
問題の所在
株主総会において議案が否決された場合、831条1項の決議取消しの訴えを提起できるか。「決議取消しの訴え」の対象に「否決決議」が含まれるかが問題となる。
規範(判例・通説の定式)
株主総会の決議取消しの訴え(831条1項)における「決議」とは可決決議を指し、否決決議はその対象に含まれない(最判平28.3.4・民集70巻3号593頁)。
理由:①否決決議を取り消しても可決決議が成立するわけではなく、実質的な救済にならない。②否決決議の取消しを認めると、招集権者が再度の総会を開催するよう強制されることになり、会社運営の安定を害する。③831条1項の文言・趣旨は、違法に成立した決議を遡及的に消滅させることを目的とするものである。
したがって、否決決議に不満がある株主は再度の株主総会の招集請求(297条・303条)等の別の手段によるべきである。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
株主総会において議案が否決された場合、831条1項の決議取消しの訴えを提起できるか。「決議取消しの訴え」の対象に「否決決議」が含まれるかが問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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出題実績と演習
よくある質問
Q株主総会において議案が否決された場合、831条1項の決議取消しの訴えを提起できるか。+
株主総会の決議取消しの訴え(831条1項)における「決議」とは可決決議を指し、否決決議はその対象に含まれない(最判平28.3.4・民集70巻3号593頁)。
Q「否決決議の取消しの可否」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成30年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q株主総会決議の取消し・無効・不存在の違いは?+
招集手続・決議方法の法令定款違反、決議内容の定款違反、特別利害関係人の著しく不当な議決権行使は取消事由(831条・決議から3か月以内)。決議内容の法令違反は無効事由(830条2項・期間制限なし)。全株主への招集通知漏れなど著しい手続的瑕疵は不存在(830条1項)となる。
Q経営判断原則とは?+
取締役の経営上の判断について、判断の過程(情報収集・分析・検討)と内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反とならないとする法理である。①前提となる事実認識に不注意な誤りがないか、②意思決定の過程・内容が著しく不合理でないかを審査する(最判平22.7.15参照)。
Q取締役会の承認がない利益相反取引の効力は?+
取締役会の承認を得ない直接取引は相対的無効であり、会社は善意の第三者に無効を主張できない(最大判昭46.10.13)。間接取引も第三者が関与するのが通常なので同様に相対的無効と解する。取引で会社に損害が生じれば任務懈怠が推定される(423条3項)。