CORPORATE LAW
全員出席総会による招集手続の瑕疵の治癒(最判昭60.12.20)
全員出席総会による招集手続の瑕疵の治癒は、商法(会社法)(機関)の論点です。招集通知に目的事項の記載を欠く等の手続上の瑕疵がある場合、株主全員が総会に出席して決議に加わったときは、招集手続の瑕疵が治癒されるか。 判例・通説の規範は「株主総会の招集手続に法令違反がある場合でも、株主全員が出席して目的事項・議案について審議した(全員出席総会)場合には、招集手続の瑕疵は治癒されると解される(最判昭60.12.20・…」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和2年に問われています。
問題の所在
招集通知に目的事項の記載を欠く等の手続上の瑕疵がある場合、株主全員が総会に出席して決議に加わったときは、招集手続の瑕疵が治癒されるか。
規範(判例・通説の定式)
株主総会の招集手続に法令違反がある場合でも、株主全員が出席して目的事項・議案について審議した(全員出席総会)場合には、招集手続の瑕疵は治癒されると解される(最判昭60.12.20・民集39巻8号1869頁)。
治癒が認められる要件:全株主が総会に出席し、かつ、目的事項・議案の内容を了知した上で審議に加わったこと(招集通知の欠缺も同様)。
治癒が認められない・問題となる場合:
①株主全員が出席していない場合(一人でも欠席すれば治癒されない)
②出席したものの、目的事項の記載がなかったため議案を事前に知ることができなかった場合→出席の機会があるだけでは不十分であり、出席の実質的意味が失われているとして治癒を否定する余地がある(本件では株主Bが「驚いた」と発言)
③虚偽の説明に基づく賛成の場合:招集手続の瑕疵の治癒の問題ではなく、決議方法の著しい不公正(831条1項1号)として独立の取消事由となる。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
招集通知に目的事項の記載を欠く等の手続上の瑕疵がある場合、株主全員が総会に出席して決議に加わったときは、招集手続の瑕疵が治癒されるか。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
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よくある質問
Q招集通知に目的事項の記載を欠く等の手続上の瑕疵がある場合、株主全員が総会に出席して決議に加わったときは、招集手続の瑕疵が治癒されるか。+
株主総会の招集手続に法令違反がある場合でも、株主全員が出席して目的事項・議案について審議した(全員出席総会)場合には、招集手続の瑕疵は治癒されると解される(最判昭60.12.20・民集39巻8号1869頁)。
Q「全員出席総会による招集手続の瑕疵の治癒」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和2年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q株主総会決議の取消し・無効・不存在の違いは?+
招集手続・決議方法の法令定款違反、決議内容の定款違反、特別利害関係人の著しく不当な議決権行使は取消事由(831条・決議から3か月以内)。決議内容の法令違反は無効事由(830条2項・期間制限なし)。全株主への招集通知漏れなど著しい手続的瑕疵は不存在(830条1項)となる。
Q経営判断原則とは?+
取締役の経営上の判断について、判断の過程(情報収集・分析・検討)と内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反とならないとする法理である。①前提となる事実認識に不注意な誤りがないか、②意思決定の過程・内容が著しく不合理でないかを審査する(最判平22.7.15参照)。
Q取締役会の承認がない利益相反取引の効力は?+
取締役会の承認を得ない直接取引は相対的無効であり、会社は善意の第三者に無効を主張できない(最大判昭46.10.13)。間接取引も第三者が関与するのが通常なので同様に相対的無効と解する。取引で会社に損害が生じれば任務懈怠が推定される(423条3項)。