CORPORATE LAW
締め出し目的の株式の併合と決議の取消事由・無効事由(109条1項)(平成29年)
締め出し目的の株式の併合と決議の取消事由・無効事由は、商法(会社法)(資金調達)の論点です。買収者(大株主)が少数株主を会社から退出させる(締め出す)目的で行われた株式の併合に係る株主総会決議について、①決議取消事由(831条1項)が認められるか。②株主平等原則(109条1項)違反として決議の無効事由が認められるか。 判例・通説の規範は「【① 決議取消事由(831条1項)】」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成29年に問われています。
問題の所在
買収者(大株主)が少数株主を会社から退出させる(締め出す)目的で行われた株式の併合に係る株主総会決議について、①決議取消事由(831条1項)が認められるか。②株主平等原則(109条1項)違反として決議の無効事由が認められるか。
規範(判例・通説の定式)
【① 決議取消事由(831条1項)】
〔取消事由1〕 決議方法の法令違反(831条1項1号)
会社は株式の併合をするにあたり、株主総会においてその必要性の理由を説明しなければならない(180条4項)。本来の目的(少数株主の締め出し)を秘匿し、虚偽・不完全な理由のみを説明した場合→説明義務違反→「決議の方法が…法令…に違反」(831条1項1号)→取消事由あり。
〔取消事由2〕 特別利害関係人による著しく不当な決議(831条1項3号)
株式の併合により自己の支配権強化・少数株主排除という利益を得る買収者(大株主)は、自己の利益のために議決権を行使する特別利害関係人(831条1項3号類推)に当たりうる。かかる者が専ら少数株主の締め出しを目的として議決権を行使し、著しく不当な決議がなされた場合→取消事由(831条1項3号)あり。
【② 無効事由(株主平等原則違反・109条1項)】
株式の併合は株式数に応じた比率的処理であり、形式上は109条1項に反しない。しかし、特定の株主のみを株主たる地位から排除することを専らの目的とする株式の併合は、各株主を株式の内容・数に応じて平等に取り扱うという109条1項の趣旨に実質的に違反し、当該株式の併合は無効である。
取消しと無効の実際上の差異:取消しは株主総会決議の取消訴訟(831条)によるが、無効は一般的な無効確認訴訟による。無効は遡及効があり、株式の併合自体を否定する点でより強力な救済手段となる。
あてはめのポイント
併合比率3000:1で少数株主(G・800株、持株会・1200株)を端数処理→実質的に株主たる地位を喪失させる→締め出し目的→①180条4項の説明義務違反(831条1項1号)・特別利害関係人による著しく不当決議(831条1項3号)→取消事由。②109条1項の趣旨違反→無効事由。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
買収者(大株主)が少数株主を会社から退出させる(締め出す)目的で行われた株式の併合に係る株主総会決議について、①決議取消事由(831条1項)が認められるか。②株主平等原則(109条1項)違反として決議の無効事由が認められるか。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
あわせて読みたい論点
この論点の前提になる論点や、対になる論点です。
資金調達/新株発行
株式の併合の差止請求と種類株主の反対株主の株式買取請求
さらに学びたい人へ(おすすめ教材)
この論点の理解を深める教材です。リンクにはアフィリエイトリンクを含みます(価格は変わりません)。
書籍
会社法判例百選(有斐閣) ↗取締役の責任・株主総会決議の瑕疵などで引用する判例の事案と規範を確認する。
講座
アガルート 重要問題習得講座(重問) ↗信頼できる答案例が付いた網羅的な演習書。解答例を問題提起・理由付け・規範・あてはめ・結論の5色に塗り分けて周回する。憲法・刑法以外の論文の軸。
講座
アガルート 短答知識完成講座Ⅱ(下4法) ↗下4法の短答対策。過去問と判例六法のマーキングをセットで進めるための講座。
講座
アガルート 判例百選スピード攻略講座 ↗百選を問題集として使い、その判例が論文で出たらどう書くかを示す講座。インプットとアウトプットを同時にできる。特に行政法・民訴・会社法・刑訴で効果が大きい。
出題実績と演習
よくある質問
Q買収者(大株主)が少数株主を会社から退出させる(締め出す)目的で行われた株式の併合に係る株主総会決議について、①決議取消事由(831条1項)が認められるか。+
【① 決議取消事由(831条1項)】
Q「締め出し目的の株式の併合と決議の取消事由・無効事由」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成29年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。