CORPORATE LAW
取締役の報酬の定め(361条)と一方的減額の禁止(最二判平4.12.18)
取締役の報酬の定めと一方的減額の禁止は、商法(会社法)(機関)の論点です。株主総会決議により取締役の報酬額が定められている場合、会社(取締役会・株主総会の決議)が一方的に取締役の報酬を減額することは許されるか(最二判平4.12.18)。 判例・通説の規範は「【361条の趣旨】」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成28年に問われています。
問題の所在
株主総会決議により取締役の報酬額が定められている場合、会社(取締役会・株主総会の決議)が一方的に取締役の報酬を減額することは許されるか(最二判平4.12.18)。
規範(判例・通説の定式)
【361条の趣旨】
取締役の報酬は、定款に定めがない場合は株主総会の決議によって定める(361条1項)。これは、取締役が自己の報酬を自ら決定することによるお手盛りを防止する趣旨である。
【一方的減額の禁止(最二判平4.12.18)】
株主総会決議によって取締役の報酬が具体的に確定した場合、その報酬請求権は取締役と会社との間の契約内容に組み込まれ、取締役の個人的権利として確定する。したがって、取締役の同意なく会社が一方的にこれを減額することは許されない(最二判平4.12.18)。
【同意による減額】
取締役本人が同意した場合(特に辞任等を巡る交渉の場面)は、当該同意が真意に基づくか(自由意思・強迫・錯誤の有無)を検討する。会社側の強圧的行為・辞任強要を背景とした同意は自由意思に基づかないとして効力を否定しうる。
【減額前と減額後の取扱い】
減額が無効である場合、取締役は定められた額の報酬を請求できる(差額請求権)。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
株主総会決議により取締役の報酬額が定められている場合、会社(取締役会・株主総会の決議)が一方的に取締役の報酬を減額することは許されるか(最二判平4.12.18)。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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出題実績と演習
よくある質問
Q株主総会決議により取締役の報酬額が定められている場合、会社(取締役会・株主総会の決議)が一方的に取締役の報酬を減額することは許されるか(最二判平4.12.18)+
【361条の趣旨】
Q「取締役の報酬の定めと一方的減額の禁止」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成28年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q株主総会決議の取消し・無効・不存在の違いは?+
招集手続・決議方法の法令定款違反、決議内容の定款違反、特別利害関係人の著しく不当な議決権行使は取消事由(831条・決議から3か月以内)。決議内容の法令違反は無効事由(830条2項・期間制限なし)。全株主への招集通知漏れなど著しい手続的瑕疵は不存在(830条1項)となる。
Q経営判断原則とは?+
取締役の経営上の判断について、判断の過程(情報収集・分析・検討)と内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反とならないとする法理である。①前提となる事実認識に不注意な誤りがないか、②意思決定の過程・内容が著しく不合理でないかを審査する(最判平22.7.15参照)。
Q取締役会の承認がない利益相反取引の効力は?+
取締役会の承認を得ない直接取引は相対的無効であり、会社は善意の第三者に無効を主張できない(最大判昭46.10.13)。間接取引も第三者が関与するのが通常なので同様に相対的無効と解する。取引で会社に損害が生じれば任務懈怠が推定される(423条3項)。