ADMINISTRATIVE LAW
国家賠償法1条1項の要件
国家賠償法1条1項の要件は、行政法(行政救済法)の論点です。公務員の行為について国家賠償法1条1項に基づく損害賠償が認められるか。「違法」の判断基準が問題となる。 判例・通説の規範は「国賠法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずる旨…」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成23年・平成24年・平成25年・平成26年などに問われています。
問題の所在
公務員の行為について国家賠償法1条1項に基づく損害賠償が認められるか。「違法」の判断基準が問題となる。
規範(判例・通説の定式)
国賠法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずる旨規定する。
【「違法」の判断基準】
公務員が個別の国民に対して負担する職務上通常尽くすべき注意義務に違反したかどうかにより判断する(最判昭60.11.21・在宅投票制度廃止事件)。結果の違法ではなく行為の違法(職務行為基準説)。
【規制権限の不行使】
行政庁が規制権限を行使しなかったことが国賠法上違法となるのは、権限の根拠法令の趣旨・目的、権限の性質等に照らし、権限の不行使が著しく合理性を欠くと認められる場合に限られる(最判平16.4.27・筑豊じん肺訴訟、最判平16.10.15・水俣病関西訴訟)。
あてはめのポイント
立法不作為の違法:立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合等に限り、国賠法上の違法の評価を受ける(最大判平17.9.14・在外邦人選挙権訴訟)。
補足
「営造物の設置または管理に瑕疵があったとは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、これに基づく国および公共団体の賠償責任については、その過失の存在を必要としない。」
関連判例
最判昭45.8.20(高知落石事件・国賠2条)
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
公務員の行為について国家賠償法1条1項に基づく損害賠償が認められるか。「違法」の判断基準が問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
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出題実績と演習
- 予備試験 平成23年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 平成24年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 平成25年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 平成26年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 平成27年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 平成28年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 平成29年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 平成30年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 令和元年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 令和2年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 令和3年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 令和4年 論文(問題・趣旨・参考答案)
- 予備試験 令和5年 論文(問題・趣旨・参考答案)
よくある質問
Q公務員の行為について国家賠償法1条1項に基づく損害賠償が認められるか。+
国賠法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずる旨規定する。
Q「国家賠償法1条1項の要件」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成23年・平成24年・平成25年・平成26年・平成27年・平成28年・平成29年・平成30年・令和元年・令和2年・令和3年・令和4年・令和5年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q処分性はどう判断する?+
取消訴訟の対象となる処分とは、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最判昭39.10.29)。公権力性と直接の法効果性を個別法の仕組みから検討する。
Q原告適格の「法律上の利益を有する者」とは?+
処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう(最判平元.2.17)。第三者については行訴法9条2項により、根拠法令・関連法令の趣旨目的と、害される利益の内容・性質・態様・程度を勘案して判断する。
Q国家賠償法1条1項の「違法」はどう判断する?+
公務員が個別の国民に対して負担する職務上通常尽くすべき注意義務に違反したかで判断する(職務行為基準説・最判昭60.11.21)。規制権限の不行使は、根拠法令の趣旨目的や権限の性質に照らし、不行使が著しく合理性を欠く場合に限り違法となる(最判平16.4.27)。