ADMINISTRATIVE LAW
行政計画(農用地利用計画)の処分性と内部規程による申請権(最判昭57.4.22参照)
行政計画の処分性と内部規程による申請権は、行政法(行政救済法)の論点です。農用地区域を定める農用地利用計画(農振法8条1項・2項1号)の設定、及び農地所有者からの申出に対する当該計画変更(個別農地の農用地区域からの除外)の拒絶は、取消訴訟の対象となる処分(行訴法3条2項)に当たるか。行政計画の処分性判断が問題となる。 判例・通説の規範は「【行政計画の一般的処分性否定論】」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和2年に問われています。
問題の所在
農用地区域を定める農用地利用計画(農振法8条1項・2項1号)の設定、及び農地所有者からの申出に対する当該計画変更(個別農地の農用地区域からの除外)の拒絶は、取消訴訟の対象となる処分(行訴法3条2項)に当たるか。行政計画の処分性判断が問題となる。
規範(判例・通説の定式)
【行政計画の一般的処分性否定論】
都市計画法上の用途地域指定は、法令類似の一般的・抽象的効力を持つにとどまり、処分性が否定される(最判昭57.4.22・民集36巻4号705頁)。農用地利用計画による農用地区域の設定も、農地転用を直接禁じるものではなく(転用許可段階で禁止される)、一般的・抽象的規制として処分性が否定される余地がある。
【個別農地の除外決定の処分性】
もっとも、個別農地の農用地区域からの「除外」は特定の農地所有者を名宛人とするものであり、用途地域指定とは性質を異にする。処分性を検討する際は、①除外の可否が当該農地所有者の転用許可申請(農地法4条1項)取得に不可欠な法的前提となるか、②後の農地転用許可拒否処分の取消訴訟で除外申出拒絶の違法を争えるか(違法性の承継)、③早期救済の必要性を総合考慮する。
【内部規程(運用指針)と申請権の根拠】
市町村長策定の内部規程(運用指針)が農振法の趣旨を具体化し、農地所有者からの申出と可否通知の手続を制度化している場合、農振法の趣旨から申請権を読み取り、内部規程の存在も踏まえて申出の拒絶(不作為を含む)に処分性を認める解釈も成立しうる。
あてはめのポイント
処分性判断における救済の実質的考慮:除外段階での処分性を否定した場合、農地所有者は除外申出→転用許可申請→拒否処分→取消訴訟という段階を経るが、③の段階で除外要件充足の違法を主張できるかは違法性の承継(4-1a・2-2参照)の問題となる。先行処分(除外拒絶)と後行処分(転用許可拒否)が目的・効果上一体の関係にあるとして承継を認める余地もあるが、早期救済の観点から除外段階での処分性を認める解釈が実益を持つ。
補足
「行訴法9条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき『法律上の利益を有する者』に当たるか否かは、当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し、当該利益が法律上保護された利益といえるかどうかを個別的・具体的に検討して判断すべきものである。」(同旨:行訴法9条2項に明文化)
関連判例
最大判平17.12.7(小田急高架訴訟・原告適格)
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
農用地区域を定める農用地利用計画(農振法8条1項・2項1号)の設定、及び農地所有者からの申出に対する当該計画変更(個別農地の農用地区域からの除外)の拒絶は、取消訴訟の対象となる処分(行訴法3条2項)に当たるか。行政計画の処分性判断が問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
あわせて読みたい論点
この論点の前提になる論点や、対になる論点です。
行政救済法/取消訴訟の訴訟要件
段階的手続における中間処分の処分性行政救済法/取消訴訟の訴訟要件
処分性
さらに学びたい人へ(おすすめ教材)
この論点の理解を深める教材です。リンクにはアフィリエイトリンクを含みます(価格は変わりません)。
書籍
行政判例百選Ⅰ・Ⅱ(有斐閣) ↗処分性・原告適格は判例の事案ごとの違いが問われる。百選で事案と考慮要素を押さえる。
講座
アガルート 重要問題習得講座(重問) ↗信頼できる答案例が付いた網羅的な演習書。解答例を問題提起・理由付け・規範・あてはめ・結論の5色に塗り分けて周回する。憲法・刑法以外の論文の軸。
講座
アガルート 短答知識完成講座Ⅱ(下4法) ↗下4法の短答対策。過去問と判例六法のマーキングをセットで進めるための講座。
講座
アガルート 判例百選スピード攻略講座 ↗百選を問題集として使い、その判例が論文で出たらどう書くかを示す講座。インプットとアウトプットを同時にできる。特に行政法・民訴・会社法・刑訴で効果が大きい。
出題実績と演習
よくある質問
Q農用地区域を定める農用地利用計画(農振法8条1項・2項1号)の設定、及び農地所有者からの申出に対する当該計画変更(個別農地の農用地区域からの除外)の拒絶は、取消+
【行政計画の一般的処分性否定論】
Q「行政計画の処分性と内部規程による申請権」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和2年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q処分性はどう判断する?+
取消訴訟の対象となる処分とは、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最判昭39.10.29)。公権力性と直接の法効果性を個別法の仕組みから検討する。
Q原告適格の「法律上の利益を有する者」とは?+
処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう(最判平元.2.17)。第三者については行訴法9条2項により、根拠法令・関連法令の趣旨目的と、害される利益の内容・性質・態様・程度を勘案して判断する。
Q国家賠償法1条1項の「違法」はどう判断する?+
公務員が個別の国民に対して負担する職務上通常尽くすべき注意義務に違反したかで判断する(職務行為基準説・最判昭60.11.21)。規制権限の不行使は、根拠法令の趣旨目的や権限の性質に照らし、不行使が著しく合理性を欠く場合に限り違法となる(最判平16.4.27)。