CRIMINAL LAW
窃盗罪と不法領得の意思
窃盗罪と不法領得の意思は、刑法(各論(頻出論点))の論点です。窃盗罪(235条)の成立には不法領得の意思が必要か。不法領得の意思の内容が問題となる。 判例・通説の規範は「窃盗罪の成立には故意のほか不法領得の意思が必要であると解する。不法領得の意思とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいう(最判…」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成23年・平成24年・平成25年・平成26年などに問われています。
問題の所在
窃盗罪(235条)の成立には不法領得の意思が必要か。不法領得の意思の内容が問題となる。
規範(判例・通説の定式)
窃盗罪の成立には故意のほか不法領得の意思が必要であると解する。不法領得の意思とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいう(最判昭26.7.13)。
不法領得の意思は、①権利者排除意思(使用窃盗との区別)と②利用処分意思(毀棄罪との区別)の二つの要素からなる。
あてはめのポイント
一時使用(使用窃盗):権利者排除意思が弱い場合→窃盗罪不成立の方向。ただし、返還の意思があっても、乗り捨てる意思であった場合等は権利者排除意思が認められる。嫌がらせ目的で物を隠匿した場合:利用処分意思が欠ける→器物損壊罪の成否が問題となる。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
窃盗罪(235条)の成立には不法領得の意思が必要か。不法領得の意思の内容が問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
あわせて読みたい論点
この論点の前提になる論点や、対になる論点です。
各論(頻出論点)/財産犯
横領行為の意義 - 隠匿行為と不法領得の意思
さらに学びたい人へ(おすすめ教材)
この論点の理解を深める教材です。リンクにはアフィリエイトリンクを含みます(価格は変わりません)。
書籍
基本刑法Ⅱ 各論 ↗口述の刑事はこれと過去問と定石。出版社サイトの簡易問題集を2時間で1周できるまで回す。
講座
アガルート 短答過去問解析講座(憲法・民法・刑法) ↗司法試験・予備試験の全過去問・全選択肢の解説動画。動画で思考過程の誤りに気づけるので、全年度を判例六法にマーキングしながら回す作業を完走できる。
講座
アガルート 論証集の使い方講座 ↗論証集は書き換えず、5色に塗って可視化して使うのが基本。作成者本人が行間を説明する講座で、読みにくい部分の理解が進む。
書籍
判例六法(有斐閣) ↗短答の全過去問で出た条文・判例を全てマーキングし、知っている知識でも引く癖をつける。条文検索速度が上がり、論文・口述にも効く。
出題実績と演習
よくある質問
Q窃盗罪(235条)の成立には不法領得の意思が必要か。+
窃盗罪の成立には故意のほか不法領得の意思が必要であると解する。不法領得の意思とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいう(最判昭26.7.13)。
Q「窃盗罪と不法領得の意思」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成23年・平成24年・平成25年・平成26年・平成27年・平成28年・平成29年・平成30年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q不法領得の意思とは何か?+
権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいう(最判昭26.7.13)。①権利者排除意思で使用窃盗と区別し、②利用処分意思で毀棄罪と区別する。嫌がらせ目的の隠匿は利用処分意思を欠き器物損壊罪の問題となる。
Q詐欺罪と窃盗罪はどう区別する?+
被害者の錯誤に基づく任意の処分行為(財物の交付)が介在すれば詐欺罪、占有者の意思に反して占有を取得すれば窃盗罪である。被害者が一時的に席を外しただけで占有の終局的移転の認識(処分意思)がない場合は、占有の弛緩にすぎず窃盗罪となる。
Q横領罪と背任罪はどう区別する?+
委託の趣旨に反して財物を自己の物として処分する行為(不法領得の意思の発現)であれば横領罪、委託関係に違背して本人に財産的損害を与える行為であれば背任罪である。名義と実質の両面で自己の計算で処分したか否かが基準となる。