オンラインロースクールONLINE LAW SCHOOL

CRIMINAL LAW

権利行使と恐喝罪における被害額(①全額説と②超過額説)

財産犯出題年度:令和2

権利行使と恐喝罪における被害額は、刑法(各論(頻出論点))の論点です。回収権限のある債権の範囲内についても恐喝的手段で財物を交付させた場合、債権額の範囲内についても恐喝罪の構成要件に該当し「財産上の損害」が生じるか。被害額の算定が問題となる。 判例・通説の規範は「①全額説(例:600万円)の根拠:(a)占有説:恐喝的手段が用いられた場合、債務者の占有の要保護性を問わず全体について占有侵害が認められる。(b)個別財産説:恐喝行為に基づき移転し…」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和2年に問われています。

問題の所在

回収権限のある債権の範囲内についても恐喝的手段で財物を交付させた場合、債権額の範囲内についても恐喝罪の構成要件に該当し「財産上の損害」が生じるか。被害額の算定が問題となる。

規範(判例・通説の定式)

①全額説(例:600万円)の根拠:(a)占有説:恐喝的手段が用いられた場合、債務者の占有の要保護性を問わず全体について占有侵害が認められる。(b)個別財産説:恐喝行為に基づき移転した財物ないし預金債権全体が「財産上の損害」に当たる。

②超過額説(例:100万円)の根拠:(c)正当利益欠如説:履行遅滞に陥った債務については債務者に適法保持の正当な利益がなく、超過額のみに法益侵害が認められる。(d)実質損害説:債権額の範囲では財物交付と同額の債務が消滅するため、実質的損害は超過額のみである。

違法性阻却の可否:権利行使を理由とする違法性阻却は、請求額の超過・恐喝手段の緊急性・必要性・相当性のいずれも欠くため認められない。

答案での書き方(法的三段論法)

  1. 1

    問題提起

    回収権限のある債権の範囲内についても恐喝的手段で財物を交付させた場合、債権額の範囲内についても恐喝罪の構成要件に該当し「財産上の損害」が生じるか。被害額の算定が問題となる。

  2. 2

    規範

    上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。

  3. 3

    あてはめ

    問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。

  4. 4

    結論

    「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。

自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。

あわせて読みたい論点

この論点の前提になる論点や、対になる論点です。

さらに学びたい人へ(おすすめ教材)

この論点の理解を深める教材です。リンクにはアフィリエイトリンクを含みます(価格は変わりません)。

出題実績と演習

よくある質問

Q回収権限のある債権の範囲内についても恐喝的手段で財物を交付させた場合、債権額の範囲内についても恐喝罪の構成要件に該当し「財産上の損害」が生じるか。+

①全額説(例:600万円)の根拠:(a)占有説:恐喝的手段が用いられた場合、債務者の占有の要保護性を問わず全体について占有侵害が認められる。(b)個別財産説:恐喝行為に基づき移転した財物ないし預金債権全体が「財産上の損害」に当たる。

Q「権利行使と恐喝罪における被害額」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+

令和2年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。

Q不法領得の意思とは何か?+

権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいう(最判昭26.7.13)。①権利者排除意思で使用窃盗と区別し、②利用処分意思で毀棄罪と区別する。嫌がらせ目的の隠匿は利用処分意思を欠き器物損壊罪の問題となる。

Q詐欺罪と窃盗罪はどう区別する?+

被害者の錯誤に基づく任意の処分行為(財物の交付)が介在すれば詐欺罪、占有者の意思に反して占有を取得すれば窃盗罪である。被害者が一時的に席を外しただけで占有の終局的移転の認識(処分意思)がない場合は、占有の弛緩にすぎず窃盗罪となる。

Q横領罪と背任罪はどう区別する?+

委託の趣旨に反して財物を自己の物として処分する行為(不法領得の意思の発現)であれば横領罪、委託関係に違背して本人に財産的損害を与える行為であれば背任罪である。名義と実質の両面で自己の計算で処分したか否かが基準となる。