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CRIMINAL LAW

窃盗罪における「占有」の帰属(複数管理者間の上下関係)

財産犯出題年度:令和3

窃盗罪における「占有」の帰属は、刑法(各論(頻出論点))の論点です。財物を現実に管理しているのが下位者(副店長等)であるが、上位者(店長等)も管理権限を有する場合、窃盗罪の客体たる「占有」は誰に帰属するか。占有が下位者に帰属すれば業務上横領罪、上位者に帰属すれば窃盗罪の問題となる。 判例・通説の規範は「複数の管理者間に上下関係がある場合、財物を現実に握持しているのが下位者であっても、原則として占有は上位者に帰属し、下位者は占有補助者にすぎない(最決昭31.1.19)。もっとも、上…」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和3年に問われています。

問題の所在

財物を現実に管理しているのが下位者(副店長等)であるが、上位者(店長等)も管理権限を有する場合、窃盗罪の客体たる「占有」は誰に帰属するか。占有が下位者に帰属すれば業務上横領罪、上位者に帰属すれば窃盗罪の問題となる。

規範(判例・通説の定式)

複数の管理者間に上下関係がある場合、財物を現実に握持しているのが下位者であっても、原則として占有は上位者に帰属し、下位者は占有補助者にすぎない(最決昭31.1.19)。もっとも、上位者が下位者に財物の管理を完全に委ね、下位者が上位者の判断を個別に仰ぐことなく独立の権限・裁量を有している場合には、例外的に財物の占有が下位者に帰属する。

下位者の占有(ひいては業務上横領罪の成否)を判断するに当たっては、①商品の仕入れ・持出し・価格設定に関する下位者の権限の有無、②施錠管理の態様(上位者と共同で鍵を保持しているか)、③監視体制(防犯カメラ等の設置状況)等の具体的事情を総合考慮する。

あてはめのポイント

上位者(C)が下位者(丙)とともに商品陳列ケースの鍵を保持し、商品の持出し等には上位者の承認が必要とされ、防犯カメラが常時作動している場合→上位者の占有が優越し、下位者は占有補助者→客体は「他人(上位者=会社)の占有する財物」として窃盗罪の対象となる(業務上横領罪は否定)。

補足

「犯人が被害者を死亡させた後に財物を取得した場合であっても、被害者からその財物の占有を離脱させた自己の行為を利用して財物を奪取したものと認められるときは、窃盗罪が成立する。」

関連判例

  • 最判昭41.4.8

答案での書き方(法的三段論法)

  1. 1

    問題提起

    財物を現実に管理しているのが下位者(副店長等)であるが、上位者(店長等)も管理権限を有する場合、窃盗罪の客体たる「占有」は誰に帰属するか。占有が下位者に帰属すれば業務上横領罪、上位者に帰属すれば窃盗罪の問題となる。

  2. 2

    規範

    上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。

  3. 3

    あてはめ

    問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。

  4. 4

    結論

    「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。

自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。

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出題実績と演習

よくある質問

Q財物を現実に管理しているのが下位者(副店長等)であるが、上位者(店長等)も管理権限を有する場合、窃盗罪の客体たる「占有」は誰に帰属するか。+

複数の管理者間に上下関係がある場合、財物を現実に握持しているのが下位者であっても、原則として占有は上位者に帰属し、下位者は占有補助者にすぎない(最決昭31.1.19)。もっとも、上位者が下位者に財物の管理を完全に委ね、下位者が上位者の判断を個別に仰ぐことなく独立の権限・裁量を有している場合には、例外的に財物の占有が下位者に帰属する。

Q「窃盗罪における「占有」の帰属」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+

令和3年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。

Q不法領得の意思とは何か?+

権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいう(最判昭26.7.13)。①権利者排除意思で使用窃盗と区別し、②利用処分意思で毀棄罪と区別する。嫌がらせ目的の隠匿は利用処分意思を欠き器物損壊罪の問題となる。

Q詐欺罪と窃盗罪はどう区別する?+

被害者の錯誤に基づく任意の処分行為(財物の交付)が介在すれば詐欺罪、占有者の意思に反して占有を取得すれば窃盗罪である。被害者が一時的に席を外しただけで占有の終局的移転の認識(処分意思)がない場合は、占有の弛緩にすぎず窃盗罪となる。

Q横領罪と背任罪はどう区別する?+

委託の趣旨に反して財物を自己の物として処分する行為(不法領得の意思の発現)であれば横領罪、委託関係に違背して本人に財産的損害を与える行為であれば背任罪である。名義と実質の両面で自己の計算で処分したか否かが基準となる。