CRIMINAL LAW
横領行為(「横領した」)の意義 - 隠匿行為と不法領得の意思
横領行為の意義 - 隠匿行為と不法領得の意思は、刑法(各論(頻出論点))の論点です。委託の趣旨に反して物を隠匿する行為(物の効用に基づく利用処分とはいえない行為)が「横領した」(252条1項)に当たるか。横領行為の意義が問題となる。 判例・通説の規範は「【越権行為説】」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和4年に問われています。
問題の所在
委託の趣旨に反して物を隠匿する行為(物の効用に基づく利用処分とはいえない行為)が「横領した」(252条1項)に当たるか。横領行為の意義が問題となる。
規範(判例・通説の定式)
【越権行為説】
横領行為とは委託の趣旨に反する権限逸脱行為である。物の効用に基づく利用処分は不要であり、委託の趣旨に反する隠匿行為も「横領した」に当たる。
【領得行為説(判例)】
横領行為とは不法領得の意思を発現する行為をいう(最判昭27.10.17)。横領罪における不法領得の意思とは「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいい(最判昭24.3.8)、物をその効用に基づいて利用・処分する意思(利用処分意思)までは不要である。したがって、専ら隠匿する行為も「横領した」に当たりうる。
【領得行為説の一部(利用処分意思必要説)】
横領罪の不法領得の意思にも利用処分意思が必要であり、専ら隠匿する行為は不法領得の意思の発現とはいえず「横領した」に当たらない。
あてはめのポイント
判例(最判昭24.3.8等)によれば、Aを困らせるために本件バイクを実家の物置に隠匿した行為も、委託の任務に背いて所有者でなければできないような処分をしたとして「横領した」に当たりうる。
補足
「横領罪の成立した後においても、なお委託信任関係は存続しており、新たな横領行為が行われた場合には、その行為について独立して横領罪が成立する。」
関連判例
最判平15.4.23(横領物の横領)
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
委託の趣旨に反して物を隠匿する行為(物の効用に基づく利用処分とはいえない行為)が「横領した」(252条1項)に当たるか。横領行為の意義が問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
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出題実績と演習
よくある質問
Q委託の趣旨に反して物を隠匿する行為(物の効用に基づく利用処分とはいえない行為)が「横領した」(252条1項)に当たるか。+
【越権行為説】
Q「横領行為の意義 - 隠匿行為と不法領得の意思」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和4年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q不法領得の意思とは何か?+
権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいう(最判昭26.7.13)。①権利者排除意思で使用窃盗と区別し、②利用処分意思で毀棄罪と区別する。嫌がらせ目的の隠匿は利用処分意思を欠き器物損壊罪の問題となる。
Q詐欺罪と窃盗罪はどう区別する?+
被害者の錯誤に基づく任意の処分行為(財物の交付)が介在すれば詐欺罪、占有者の意思に反して占有を取得すれば窃盗罪である。被害者が一時的に席を外しただけで占有の終局的移転の認識(処分意思)がない場合は、占有の弛緩にすぎず窃盗罪となる。
Q横領罪と背任罪はどう区別する?+
委託の趣旨に反して財物を自己の物として処分する行為(不法領得の意思の発現)であれば横領罪、委託関係に違背して本人に財産的損害を与える行為であれば背任罪である。名義と実質の両面で自己の計算で処分したか否かが基準となる。