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CIVIL PROCEDURE

既判力の時的限界(基準時後の事由)

既判力出題年度:平成24・26・28・令和2・4

規範(判例・通説の定式)

【規範】既判力の基準時は事実審の口頭弁論終結時。基準時前に存在した事由に基づく主張は、行使可能であったのに主張しなかった場合も既判力により遮断される(遮断効)。基準時後に生じた新事由に基づく主張は遮断されない。

判例の射程

【判例(77事件)】最判昭55.10.23=基準時前に取消原因が存在し行使できたのに行使しなかった取消権を、基準時後に行使して前訴判決の効力を争うことは、既判力により遮断される。

【判例(類型別)】

補足

6-2a 基準時後の形成権行使

・取消権=基準時前に取消事由が存在していたのに行使しなかった場合、後訴の行使は遮断される(最判昭55.10.23)。

・解除権=基準時前に行使可能なら遮断される。

・相殺権=基準時後でも遮断されない(最判昭40.4.2)。訴訟物とは別個独立した抗弁であり、相殺の抗弁は実質的敗訴である。

・建物買取請求権=基準時後でも遮断されない(最判平7.12.15)。建物保護の政策的要請。

【問題提起の作法】「基準時前に存在した形成権の後訴行使は既判力により遮断されるか」と提起し、当該形成権の類型に応じた判例の処理を引用する。

【基準時後の事情変更(82事件・後遺症)】最判昭42.7.18=交通事故の前訴で治療費等を請求し認容判決が確定した後、基準時後に判明した後遺症に基づく損害賠償を求める後訴は、前訴が「一個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合」と同視でき、前訴と後訴は訴訟物を異にするから、前訴判決の既判力は後訴に及ばない。試験では「明示の一部請求と同視」という理屈で残部請求を認める判例として位置づける。

【判例相互の関係】77事件(基準時前に行使できた形成権→遮断)と82事件(基準時後に判明した後遺症→遮断されない)は、「基準時に主張できたか」で分かれる。形成権でも相殺権(最判昭40.4.2)・建物買取請求権(最判平7.12.15)は遮断されない点を、理由とともに押さえる。

関連判例

  • 最判昭55.10.23(百選77事件)基準時後の取消権行使

    売買契約の詐欺による取消権は、前訴の事実審口頭弁論終結前に行使できたものであるから、確定判決後にこれを行使して前訴の判断を争うことは既判力に抵触し許されない。
  • 最判昭42.7.18(百選82事件)後遺症による追加請求

    一個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合、訴訟物は右債権の一部の存否のみであって全部の存否ではなく、したがって右一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばない。

答案での書き方(法的三段論法)

  1. 1

    問題提起

    本件で既判力の時的限界が問題となる旨を、条文を引用して1〜2文で提起する。

  2. 2

    規範

    上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。

  3. 3

    あてはめ

    問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。

  4. 4

    結論

    「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。

自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。

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出題実績と演習

よくある質問

Q「既判力の時的限界」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+

平成24年・平成26年・平成28年・令和2年・令和4年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。

Q既判力とは何か?+

前訴確定判決の判断内容が後訴に対して有する拘束力をいう。趣旨は紛争の蒸し返し防止・紛争解決の終局性・訴訟経済・法的安定性の確保にあり、当事者に手続保障が及んだことが実質的根拠である。客観的範囲は主文に包含するもの(114条1項)に限られる。

Q既判力の基準時後に取消権や相殺権を行使できる?+

基準時(事実審の口頭弁論終結時)前に取消事由が存在したのに行使しなかった取消権は遮断される(最判昭55.10.23)。相殺権は訴訟物とは別個独立の抗弁であり基準時後でも遮断されない(最判昭40.4.2)。建物買取請求権も遮断されない。

Q一部請求の後に残部請求はできる?+

一部請求であることが明示されていれば訴訟物はその一部に限定され、残部請求は既判力に反しない(最判昭37.8.10)。ただし一部請求が棄却された後の残部請求は、特段の事情のない限り信義則に反し許されない(最判平10.6.12)。明示がなければ既判力は債権全体に及ぶ。

Q既判力が作用するのはどんな場面?+

前訴の訴訟物と後訴の訴訟物が同一・先決・矛盾のいずれかの関係にある場合である。作用の内容は、後訴裁判所が前訴判断と矛盾する判断をできない積極的作用と、当事者の矛盾する主張が排斥される消極的作用の二つに分けて書く。