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CIVIL PROCEDURE

既判力の論証例(5ステップ)

既判力

規範(判例・通説の定式)

(1) 既判力とは、前訴確定判決が後訴に対して有する拘束力である。既判力の趣旨は紛争の蒸し返しの防止であり、正当化根拠は当事者に対する手続保障である。

(2) 既判力は前訴判決の確定時に生じる。既判力の客観的範囲は「主文に包含するもの」(114条1項)、つまり訴訟物の存否の判断である。また、既判力の基準時は、正当化根拠から前訴の最終口頭弁論の終結時である。つまり、既判力は前訴判決の確定時に、前訴の最終口頭弁論の終結時の訴訟物の存否の判断について生じる。

(3) 後訴の当事者はXYであり、前訴の「当事者」(115条1項1号)であるから既判力が及ぶ。

(4) 既判力の作用場面は、前訴訴訟物と後訴訴訟物が同一・先決・矛盾関係にある場合である。

(5) したがって、裁判所は前訴既判力に矛盾する判断をすることができず(積極的作用)、当事者は前訴既判力に矛盾する主張は排斥される(消極的作用)。具体的には、〔本件のあてはめ〕。

あてはめのポイント

本件では、前訴判決が確定しているから、前訴の口頭弁論終結時における〔訴訟物〕の存在(不存在)について既判力が生じている。

本件では、前訴の訴訟物〔 〕と後訴の訴訟物〔 〕は〔同一/先決/矛盾〕関係にある。/〔いずれの関係にもない〕。よって、既判力が作用しない。

補足

【論証例】既判力が問題になる事案では、次の5つを順に書く。「生じる」(①②)→「及ぶ」(③)→「作用する」(④)→「効力」(⑤)。

【書き方のコツ】(2)の「生じる」と(3)の「及ぶ」を分けて書くこと、(4)で作用場面を認定してから(5)で効力を書くことで、既判力の論述に抜けがなくなる。作用しない場合は(5)に代えて、争点効・信義則を検討する(原則否定)。

答案での書き方(法的三段論法)

  1. 1

    問題提起

    本件で既判力の論証例が問題となる旨を、条文を引用して1〜2文で提起する。

  2. 2

    規範

    上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。

  3. 3

    あてはめ

    問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。

  4. 4

    結論

    「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。

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出題実績と演習

出題年度の記載はありません(基礎論点)。

よくある質問

Q既判力とは何か?+

前訴確定判決の判断内容が後訴に対して有する拘束力をいう。趣旨は紛争の蒸し返し防止・紛争解決の終局性・訴訟経済・法的安定性の確保にあり、当事者に手続保障が及んだことが実質的根拠である。客観的範囲は主文に包含するもの(114条1項)に限られる。

Q既判力の基準時後に取消権や相殺権を行使できる?+

基準時(事実審の口頭弁論終結時)前に取消事由が存在したのに行使しなかった取消権は遮断される(最判昭55.10.23)。相殺権は訴訟物とは別個独立の抗弁であり基準時後でも遮断されない(最判昭40.4.2)。建物買取請求権も遮断されない。

Q一部請求の後に残部請求はできる?+

一部請求であることが明示されていれば訴訟物はその一部に限定され、残部請求は既判力に反しない(最判昭37.8.10)。ただし一部請求が棄却された後の残部請求は、特段の事情のない限り信義則に反し許されない(最判平10.6.12)。明示がなければ既判力は債権全体に及ぶ。

Q既判力が作用するのはどんな場面?+

前訴の訴訟物と後訴の訴訟物が同一・先決・矛盾のいずれかの関係にある場合である。作用の内容は、後訴裁判所が前訴判断と矛盾する判断をできない積極的作用と、当事者の矛盾する主張が排斥される消極的作用の二つに分けて書く。