オンラインロースクールONLINE LAW SCHOOL

CRIMINAL LAW

共犯の錯誤(異なる犯罪の意思で謀議した場合の処理)

共同正犯(60条)出題年度:令和3

共犯の錯誤は、刑法(共犯)の論点です。甲が窃盗の意思で謀議したが乙は強盗の意思で謀議していた場合(または強盗の意思で謀議したが窃盗が実現した場合)、①甲乙間の「共謀」は成立するか、②乙に窃盗罪の故意は認められるか。共犯の錯誤の処理が問題となる。 判例・通説の規範は「【① 共謀の成否】」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和3年に問われています。

問題の所在

甲が窃盗の意思で謀議したが乙は強盗の意思で謀議していた場合(または強盗の意思で謀議したが窃盗が実現した場合)、①甲乙間の「共謀」は成立するか、②乙に窃盗罪の故意は認められるか。共犯の錯誤の処理が問題となる。

規範(判例・通説の定式)

【① 共謀の成否】

部分的犯罪共同説:強盗罪と窃盗罪の構成要件が重なり合う窃盗罪の限度で、甲乙間の共謀の要件が満たされると解する。

行為共同説:同一の財物を取得する旨の行為を共同する合意がある以上、共謀の要件は満たされると解する。

【② 乙の故意(抽象的事実の錯誤の処理)】

判例・通説(法定的符合説)によれば、強盗罪と窃盗罪の構成要件は窃盗罪の限度で重なり合うから、乙には窃盗罪の故意が認められる。なお、共同正犯の本質論(部分的犯罪共同説)を論じた場合、重ねて抽象的事実の錯誤を論じる必要はないとする立場もある。いずれの立場をとるにせよ、論理的整合性を保ちつつ論じる必要がある。

答案での書き方(法的三段論法)

  1. 1

    問題提起

    甲が窃盗の意思で謀議したが乙は強盗の意思で謀議していた場合(または強盗の意思で謀議したが窃盗が実現した場合)、①甲乙間の「共謀」は成立するか、②乙に窃盗罪の故意は認められるか。共犯の錯誤の処理が問題となる。

  2. 2

    規範

    上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。

  3. 3

    あてはめ

    問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。

  4. 4

    結論

    「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。

自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。

あわせて読みたい論点

この論点の前提になる論点や、対になる論点です。

さらに学びたい人へ(おすすめ教材)

この論点の理解を深める教材です。リンクにはアフィリエイトリンクを含みます(価格は変わりません)。

出題実績と演習

よくある質問

Q甲が窃盗の意思で謀議したが乙は強盗の意思で謀議していた場合(または強盗の意思で謀議したが窃盗が実現した場合)、①甲乙間の「共謀」は成立するか、②乙に窃盗罪の故意+

【① 共謀の成否】

Q「共犯の錯誤」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+

令和3年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。

Q共謀共同正犯の成立要件は?+

①共謀(意思の連絡)、②共謀に基づく一部の者の実行行為、③正犯意思(正犯性)が必要である。正犯性は犯行の動機・経緯、犯罪計画の立案や指示などの役割、利益の帰属、他の共犯者との関係等を総合し、自己の犯罪として行ったといえるかで判断する。

Q共犯からの離脱はどんな場合に認められる?+

着手前は、他の共犯者に離脱の意思を表明し了承を得て心理的因果性を遮断すれば足りる。着手後は、意思表明と了承に加え、自己の行為が生じさせた物理的・心理的因果性を除去する積極的な行為が必要であり、結果との因果関係を遮断しなければ離脱は認められない。

Q承継的共同正犯で後行者はどこまで責任を負う?+

原則として加担後の行為についてのみ責任を負い、加担前の先行者の行為の結果には責任を負わない。先行者の行為・結果を積極的に利用する意思で加担した場合は例外的に責任を負いうるが、強盗致傷の傷害結果は承継されない(最決平24.11.6)。