ADMINISTRATIVE LAW
公表された審査基準と異なる審査運用の適法性(行手法5条・公正手続の原則)
公表された審査基準と異なる審査運用の適法性は、行政法(行政救済法)の論点です。行政庁(又はその諮問機関)が、公表された審査基準(選定指針等)と実質的に異なる基準・申合せに基づいて審査を行うことは適法か。応募者・申請者の正当な期待保護が問題となる。 判例・通説の規範は「行手法5条は、申請に対する処分につき審査基準の設定・公表を義務づけ、申請者の予測可能性と行政の透明性を確保する。公表された審査基準(選定指針等)を前提として申請・応募した者は、その…」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和3年に問われています。
問題の所在
行政庁(又はその諮問機関)が、公表された審査基準(選定指針等)と実質的に異なる基準・申合せに基づいて審査を行うことは適法か。応募者・申請者の正当な期待保護が問題となる。
規範(判例・通説の定式)
行手法5条は、申請に対する処分につき審査基準の設定・公表を義務づけ、申請者の予測可能性と行政の透明性を確保する。公表された審査基準(選定指針等)を前提として申請・応募した者は、その基準に従った審査を受けるという正当な期待を有する。
公表された基準と実際の審査運用が乖離する場合(秘密の申合せ・非公開の加点基準等)は、①公表基準を信頼して応募した者の正当な期待を侵害し、②平等原則(同一審査基準の下での公正な競争)に反し、③行政の透明性を損なう点で、審査の公正性を欠くものとして違法となりうる(裁量権の濫用)。
ただし、非公開の申合せが公表基準の趣旨・目的の範囲内にあり、かつ合理的事情に基づく場合は、違法性が否定されうる(選定基準各号の解釈として是認できるか)。
あてはめのポイント
本問:委員会の申合せは公募要項・選定指針に明示されておらず、これを知る術のなかった新規参入応募者の正当な期待(公表基準に基づく公正な審査)を侵害しないかを検討する必要がある。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
行政庁(又はその諮問機関)が、公表された審査基準(選定指針等)と実質的に異なる基準・申合せに基づいて審査を行うことは適法か。応募者・申請者の正当な期待保護が問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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出題実績と演習
よくある質問
Q行政庁(又はその諮問機関)が、公表された審査基準(選定指針等)と実質的に異なる基準・申合せに基づいて審査を行うことは適法か。+
行手法5条は、申請に対する処分につき審査基準の設定・公表を義務づけ、申請者の予測可能性と行政の透明性を確保する。公表された審査基準(選定指針等)を前提として申請・応募した者は、その基準に従った審査を受けるという正当な期待を有する。
Q「公表された審査基準と異なる審査運用の適法性」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和3年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q処分性はどう判断する?+
取消訴訟の対象となる処分とは、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最判昭39.10.29)。公権力性と直接の法効果性を個別法の仕組みから検討する。
Q原告適格の「法律上の利益を有する者」とは?+
処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう(最判平元.2.17)。第三者については行訴法9条2項により、根拠法令・関連法令の趣旨目的と、害される利益の内容・性質・態様・程度を勘案して判断する。
Q国家賠償法1条1項の「違法」はどう判断する?+
公務員が個別の国民に対して負担する職務上通常尽くすべき注意義務に違反したかで判断する(職務行為基準説・最判昭60.11.21)。規制権限の不行使は、根拠法令の趣旨目的や権限の性質に照らし、不行使が著しく合理性を欠く場合に限り違法となる(最判平16.4.27)。