CRIMINAL LAW
共同正犯における過剰防衛(一人の過剰行為を認識しない共同者の帰責・違法性阻却事由の錯誤)
共同正犯における過剰防衛は、刑法(違法性)の論点です。共同正犯者の一人が過剰な防衛行為をした場合、他の共同正犯者がその過剰行為を全く認識していなかったとき、他の共同正犯者も過剰防衛の責任を負うか。違法性阻却事由の錯誤と故意の有無が問題となる。 判例・通説の規範は「【防衛行為の相当性の判断単位】」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成29年に問われています。
問題の所在
共同正犯者の一人が過剰な防衛行為をした場合、他の共同正犯者がその過剰行為を全く認識していなかったとき、他の共同正犯者も過剰防衛の責任を負うか。違法性阻却事由の錯誤と故意の有無が問題となる。
規範(判例・通説の定式)
【防衛行為の相当性の判断単位】
①全体的判断説:共同正犯者全員の行為を一体として相当性を判断→一連の防衛行為全体が過剰であれば、全員について客観的な過剰防衛となりうる。
②個別判断説:共同正犯者ごとに相当性を個別判断→各人の担当行為のみを基準とする。
【過剰行為を認識しない共同者への帰責(違法性阻却事由の錯誤)】
全体的判断説により客観的に過剰防衛となる場合でも、他の共同正犯者が過剰性を基礎付ける事実(例:石での殴打)を全く認識していなかったとき:
▪ 事実の錯誤説(通説):過剰性を基礎付ける事実の認識を欠く→傷害罪の故意が阻却→過失傷害罪(209条1項)の成否を検討。過剰防衛の任意的減免(36条2項)の準用の可否も問題。
▪ 違法性の錯誤説:故意は阻却されないが、過剰行為の認識がない分、責任が軽減されうる。
【個別判断説を採った場合】
認識のある共同者(実行者)にのみ過剰防衛が成立し、認識のない共同者には正当防衛が成立しうる。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
共同正犯者の一人が過剰な防衛行為をした場合、他の共同正犯者がその過剰行為を全く認識していなかったとき、他の共同正犯者も過剰防衛の責任を負うか。違法性阻却事由の錯誤と故意の有無が問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
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出題実績と演習
よくある質問
Q共同正犯者の一人が過剰な防衛行為をした場合、他の共同正犯者がその過剰行為を全く認識していなかったとき、他の共同正犯者も過剰防衛の責任を負うか。+
【防衛行為の相当性の判断単位】
Q「共同正犯における過剰防衛」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成29年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q正当防衛の成立要件は?+
①急迫不正の侵害に対し、②自己又は他人の権利を防衛するため(防衛の意思)、③やむを得ずにした行為(相当性)であることが必要である(36条1項)。相当性を欠く場合は過剰防衛(36条2項)として刑の任意的減免が問題となる。
Q侵害を予期していた場合に急迫性は認められる?+
予期していたことだけで直ちに急迫性は否定されない。最決平29.4.26は、行為者と相手方の従前の関係、予期された侵害の内容、侵害回避の容易性、侵害場所に出向く必要性、対抗行為の準備状況等を考慮し、行為全般の状況に照らして判断するとした。
Q誤想防衛と誤想過剰防衛の違いは?+
誤想防衛は、存在しない侵害を誤信して防衛行為をした場合で、違法性を基礎付ける事実の認識を欠くため責任故意が阻却される。誤想過剰防衛は、誤信した侵害を前提にしても過剰な行為をした場合で、故意犯が成立しうるが36条2項の適用又は準用による減免が問題となる。