CRIMINAL LAW
詐欺罪の実行の着手(段階的欺罔と最判平30.3.22)
詐欺罪の実行の着手は、刑法(各論(頻出論点))の論点です。段階的に虚言を重ねる詐欺(特殊詐欺等)において、「現金の交付を求める文言」を述べる前の段階で、詐欺罪の実行の着手が認められるか。 判例・通説の規範は「現金交付を求める文言を述べることが欺罔行為の中核であるとしても、それ以前の段階で詐欺未遂罪の成立を認めうる(最判平30.3.22)。判断基準:」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和5年に問われています。
問題の所在
段階的に虚言を重ねる詐欺(特殊詐欺等)において、「現金の交付を求める文言」を述べる前の段階で、詐欺罪の実行の着手が認められるか。
規範(判例・通説の定式)
現金交付を求める文言を述べることが欺罔行為の中核であるとしても、それ以前の段階で詐欺未遂罪の成立を認めうる(最判平30.3.22)。判断基準:
①犯行計画上、被害者が現金を交付するか否かを判断する前提となるよう予定された事項に係る重要な嘘であること、②現金交付を求める行為に直接つながる嘘が含まれていること、③被害者において現金を交付してしまう危険性を著しく高めるものであること、の各要素を考慮し、一連の嘘を述べた段階で実行の着手を認める。
構成要件上、手段・態様を限定した詐欺罪においても、①財物交付に向けられた危険性の客観的な高まり、②計画全体から見た行為経過の密接関連性・自動性を考慮し、実行の着手時期を判断する。
あてはめのポイント
あてはめ:どの段階の行為が①現金交付判断の前提となる重要な嘘、②交付要求に直接つながる嘘を含み、③交付の危険性を著しく高めたかを事実から具体的に検討する。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
段階的に虚言を重ねる詐欺(特殊詐欺等)において、「現金の交付を求める文言」を述べる前の段階で、詐欺罪の実行の着手が認められるか。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
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出題実績と演習
よくある質問
Q段階的に虚言を重ねる詐欺(特殊詐欺等)において、「現金の交付を求める文言」を述べる前の段階で、詐欺罪の実行の着手が認められるか。+
現金交付を求める文言を述べることが欺罔行為の中核であるとしても、それ以前の段階で詐欺未遂罪の成立を認めうる(最判平30.3.22)。判断基準:
Q「詐欺罪の実行の着手」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和5年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q不法領得の意思とは何か?+
権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいう(最判昭26.7.13)。①権利者排除意思で使用窃盗と区別し、②利用処分意思で毀棄罪と区別する。嫌がらせ目的の隠匿は利用処分意思を欠き器物損壊罪の問題となる。
Q詐欺罪と窃盗罪はどう区別する?+
被害者の錯誤に基づく任意の処分行為(財物の交付)が介在すれば詐欺罪、占有者の意思に反して占有を取得すれば窃盗罪である。被害者が一時的に席を外しただけで占有の終局的移転の認識(処分意思)がない場合は、占有の弛緩にすぎず窃盗罪となる。
Q横領罪と背任罪はどう区別する?+
委託の趣旨に反して財物を自己の物として処分する行為(不法領得の意思の発現)であれば横領罪、委託関係に違背して本人に財産的損害を与える行為であれば背任罪である。名義と実質の両面で自己の計算で処分したか否かが基準となる。