オンラインロースクールONLINE LAW SCHOOL

ADMINISTRATIVE LAW

土地収用法20条3号の要件充足の裁量審査(比較衡量・考慮不尽)

行政裁量出題年度:令和元

土地収用法20条3号の要件充足の裁量審査は、行政法(行政行為)の論点です。土地収用法20条3号(「事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること」)の要件充足の判断に裁量が認められる場合、裁量権の逸脱・濫用(行訴法30条)はいかにして判断するか。 判例・通説の規範は「法20条3号は、法1条の目的規定(公共の利益の増進と私有財産との調整)を受け、①事業により増進される公共の利益と②収用により失われる利益との比較衡量によって判断される。概括的な要件…」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和元年に問われています。

問題の所在

土地収用法20条3号(「事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること」)の要件充足の判断に裁量が認められる場合、裁量権の逸脱・濫用(行訴法30条)はいかにして判断するか。

規範(判例・通説の定式)

法20条3号は、法1条の目的規定(公共の利益の増進と私有財産との調整)を受け、①事業により増進される公共の利益と②収用により失われる利益との比較衡量によって判断される。概括的な要件であり、総合的判断を伴うことから行政庁に一定の裁量が認められる。

【裁量権逸脱・濫用の具体的考慮要素】

①調査・予測の合理性:事業認定の判断基礎となった交通量予測等の調査に手法上の誤りがある場合、又は過去の調査と著しく乖離しているにもかかわらず合理的説明がない場合→判断の基礎となる事実の認定に誤りがあり裁量逸脱となりうる。

②考慮不尽:失われる利益として、地下水・防災用井戸への影響、本件土地の自然環境への影響等、当該地域の特性から明らかに検討すべき事項を全く考慮しなかった場合→考慮不尽として裁量逸脱。

③代替ルートの検討不尽:一定の配慮(小学校への騒音緩和)をルート決定に反映させながら、同様に考慮すべき本件土地の自然環境への影響を回避する代替ルートを検討していなかった場合→考慮不尽として裁量逸脱。

答案での書き方(法的三段論法)

  1. 1

    問題提起

    土地収用法20条3号(「事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること」)の要件充足の判断に裁量が認められる場合、裁量権の逸脱・濫用(行訴法30条)はいかにして判断するか。

  2. 2

    規範

    上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。

  3. 3

    あてはめ

    問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。

  4. 4

    結論

    「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。

自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。

さらに学びたい人へ(おすすめ教材)

この論点の理解を深める教材です。リンクにはアフィリエイトリンクを含みます(価格は変わりません)。

出題実績と演習

よくある質問

Q土地収用法20条3号(「事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること」)の要件充足の判断に裁量が認められる場合、裁量権の逸脱・濫用(行訴法30条+

法20条3号は、法1条の目的規定(公共の利益の増進と私有財産との調整)を受け、①事業により増進される公共の利益と②収用により失われる利益との比較衡量によって判断される。概括的な要件であり、総合的判断を伴うことから行政庁に一定の裁量が認められる。

Q「土地収用法20条3号の要件充足の裁量審査」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+

令和元年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。

Q裁量権の逸脱・濫用はどう判断する?+

①考慮すべき事項を考慮しなかったか(考慮不尽・他事考慮)、②社会観念上著しく妥当を欠くかを基準に判断する(行訴法30条)。判断過程審査では、考慮事項の適切な考慮、不当な事項の考慮の有無、各事項の評価の合理性を審査する。

Q裁量基準を機械的に適用した処分は違法?+

裁量基準は行政規則にとどまるため、個別具体的な事情を考慮せず基準を機械的に適用することが著しく不合理となる場合には基準からの離脱が許され、機械的適用は裁量権の逸脱・濫用となりうる。逆に正当な理由なく基準に反する処分は平等原則違反となりうる。

Q違法性の承継が認められる要件は?+

原則として先行処分の違法は後行処分に承継されないが、先行処分と後行処分が連続した一連の手続を構成し、相互に結合して一つの法効果の実現を目指す関係にある場合には例外的に認められる(最判平21.12.17)。手続的保障の程度と実体法上の関連性を考慮する。