CIVIL LAW
将来債権の譲渡(最判平11.1.29・最判平13.11.22)と賃貸人の地位の承継との優劣
将来債権の譲渡と賃貸人の地位の承継との優劣は、民法(債権総論)の論点です。将来賃料債権を一括して譲渡し第三者対抗要件を具備した後、賃貸借の目的不動産が譲渡されて賃貸人の地位が新所有者に承継された場合、将来賃料債権譲渡の効力は承継後の賃料債権にも及ぶか。 判例・通説の規範は「【将来債権譲渡の有効性(最判平11.1.29)】」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和元年に問われています。
問題の所在
将来賃料債権を一括して譲渡し第三者対抗要件を具備した後、賃貸借の目的不動産が譲渡されて賃貸人の地位が新所有者に承継された場合、将来賃料債権譲渡の効力は承継後の賃料債権にも及ぶか。
規範(判例・通説の定式)
【将来債権譲渡の有効性(最判平11.1.29)】
将来債権の譲渡は、譲渡の目的とされる債権が特定されている場合には原則として有効。ただし、あまりに長期にわたる包括的なものであり、譲渡人の営業活動等を過度に制限し又は他の債権者に不当な利益を与える特段の事情があるときは全部又は一部無効(最判平11.1.29)。
【第三者対抗要件の具備(最判平13.11.22)】
将来債権譲渡についても指名債権譲渡の対抗要件(467条2項:確定日付のある証書による通知又は承諾)の方法によることができる(最判平13.11.22)。
【賃貸人の地位の承継後の賃料債権との優劣(2説)】
①承継後賃料に及ばない説(新所有者優先):将来債権譲渡は譲渡人が取得すべき債権の処分に過ぎず、目的不動産の譲渡により旧賃貸人が取得すべき賃料債権が発生しなくなることは想定される事態として甘受すべき。
②承継後賃料にも及ぶ説(譲受人優先):新所有者は本件賃貸借契約の賃貸人の地位を承継するのであり、新所有者の下で生じる賃料債権も本件賃貸借から生ずるものとして譲渡の効力が及ぶ。目的不動産の譲受人は調査により将来賃料債権譲渡を知ることが可能であり、不測の不利益は生じない(本問の事案ではHが知情)。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
将来賃料債権を一括して譲渡し第三者対抗要件を具備した後、賃貸借の目的不動産が譲渡されて賃貸人の地位が新所有者に承継された場合、将来賃料債権譲渡の効力は承継後の賃料債権にも及ぶか。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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よくある質問
Q将来賃料債権を一括して譲渡し第三者対抗要件を具備した後、賃貸借の目的不動産が譲渡されて賃貸人の地位が新所有者に承継された場合、将来賃料債権譲渡の効力は承継後の賃+
【将来債権譲渡の有効性(最判平11.1.29)】
Q「将来債権の譲渡と賃貸人の地位の承継との優劣」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和元年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q債権者代位権の要件は?+
①被保全債権の存在、②債務者の無資力(金銭債権保全の場合)、③債務者が自ら権利を行使しないこと、④被代位権利が債務者の一身専属権でないことが必要である(423条)。特定債権の保全のための転用型は、保全に必要である場合に認められる。
Q詐害行為取消権の要件は?+
①被保全債権が詐害行為前に発生していること、②債務者が債権者を害することを知ってした行為であること(詐害意思)、③受益者・転得者の悪意、④財産権を目的とした行為であることが必要である(424条)。相当対価処分や偏頗行為には特則がある。
Q債権が二重に譲渡された場合の優劣は?+
確定日付のある証書による通知が債務者に到達した日時の先後で決する(最判昭49.3.7)。同時到達の場合は各譲受人が債務者に対してそれぞれ全額の支払を請求できる(最判昭55.1.11)。