オンラインロースクールONLINE LAW SCHOOL

CIVIL LAW

共有物の保存行為(252条5項)と所有権に基づく建物収去請求

物権変動出題年度:平成26

共有物の保存行為と所有権に基づく建物収去請求は、民法(物権)の論点です。共有地上の建物を収去させる請求は、共有者全員でなければならないか。共有者の1人が単独で請求できるかが問題となる。 判例・通説の規範は「【保存行為(252条5項)】」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成26年に問われています。

問題の所在

共有地上の建物を収去させる請求は、共有者全員でなければならないか。共有者の1人が単独で請求できるかが問題となる。

規範(判例・通説の定式)

【保存行為(252条5項)】

共有物の管理に関する事項は各共有者の持分の過半数で決する(252条1項本文)のが原則であるが、共有物の保存行為は各共有者が単独でできる(252条5項・旧252条但書)。

【建物収去・土地明渡請求と保存行為】

共有地上に不法占拠者が存在する場合、共有土地の所有権に基づく建物収去請求及びその敷地の明渡請求は、共有物の保存行為(252条5項)に当たる。したがって、共有者の1人が単独で当該請求を提起することができる。

不法占拠者は一般に民法177条の「第三者」(対抗要件の抗弁を主張できる者)には当たらないため、共有者の持分移転が登記されていなくても、共有者は不法占拠者に対して自己の共有持分を主張できる。

答案での書き方(法的三段論法)

  1. 1

    問題提起

    共有地上の建物を収去させる請求は、共有者全員でなければならないか。共有者の1人が単独で請求できるかが問題となる。

  2. 2

    規範

    上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。

  3. 3

    あてはめ

    問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。

  4. 4

    結論

    「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。

自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。

あわせて読みたい論点

この論点の前提になる論点や、対になる論点です。

さらに学びたい人へ(おすすめ教材)

この論点の理解を深める教材です。リンクにはアフィリエイトリンクを含みます(価格は変わりません)。

出題実績と演習

よくある質問

Q共有地上の建物を収去させる請求は、共有者全員でなければならないか。+

【保存行為(252条5項)】

Q「共有物の保存行為と所有権に基づく建物収去請求」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+

平成26年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。

Q177条の第三者とは誰のこと?+

当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう(最判昭25.12.19)。不法占拠者や無権利者は含まれず、物権変動を知りながら登記の欠缺を主張することが信義に反する背信的悪意者も含まれない(最判昭43.8.2)。

Q占有改定で即時取得は成立する?+

成立しない。即時取得は占有の外観を信頼した者を保護する制度であり、占有改定では外観上の変化がないため「占有を始めた」(192条)に当たらない(最判昭35.2.11)。指図による占有移転も同様で、現実の引渡しが必要である。

Q抵当権者は賃料債権に物上代位できる?+

できる(最大決平元.10.27)。ただし払渡し前に差押えが必要である(304条1項但書)。転貸賃料債権には原則として物上代位できないが、賃借人を所有者と同視できる場合は例外的に認められる(最決平12.4.14)。