CIVIL LAW
背信的悪意者からの転得者の地位(最判平8.10.29)
背信的悪意者からの転得者の地位は、民法(物権)の論点です。第一譲受人との関係で背信的悪意者と評価される第二譲受人(B)から目的物を取得した転得者(C)は、第一譲受人(D)に対して登記を対抗しうるか。 判例・通説の規範は「177条の「第三者」に当たらない背信的悪意者は、第一譲受人との関係で登記なくして対抗されるとしても、当該背信的悪意者が所有権を取得しないわけではなく、背信的悪意者の地位は相対的であ…」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和4年に問われています。
問題の所在
第一譲受人との関係で背信的悪意者と評価される第二譲受人(B)から目的物を取得した転得者(C)は、第一譲受人(D)に対して登記を対抗しうるか。
規範(判例・通説の定式)
177条の「第三者」に当たらない背信的悪意者は、第一譲受人との関係で登記なくして対抗されるとしても、当該背信的悪意者が所有権を取得しないわけではなく、背信的悪意者の地位は相対的である。
したがって、背信的悪意者からの転得者は、自身が第一譲受人との関係で背信的悪意者と評価されるのでない限り、登記を備えれば第一譲受人に対抗できる(最判平8.10.29)。転得者が自身について背信的悪意者に当たるかは独立して判断される。
あてはめのポイント
あてはめ:転得者が①第一譲受人への害意を有していたか、②第一譲受人を害する目的で行動したか等を個別に検討する。転得者が第一売買(契約)の存在を「知っていた」だけでは背信的悪意者にはならない(悪意だが背信性なし)。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
第一譲受人との関係で背信的悪意者と評価される第二譲受人(B)から目的物を取得した転得者(C)は、第一譲受人(D)に対して登記を対抗しうるか。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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出題実績と演習
よくある質問
Q第一譲受人との関係で背信的悪意者と評価される第二譲受人(B)から目的物を取得した転得者(C)は、第一譲受人(D)に対して登記を対抗しうるか。+
177条の「第三者」に当たらない背信的悪意者は、第一譲受人との関係で登記なくして対抗されるとしても、当該背信的悪意者が所有権を取得しないわけではなく、背信的悪意者の地位は相対的である。
Q「背信的悪意者からの転得者の地位」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和4年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q177条の第三者とは誰のこと?+
当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう(最判昭25.12.19)。不法占拠者や無権利者は含まれず、物権変動を知りながら登記の欠缺を主張することが信義に反する背信的悪意者も含まれない(最判昭43.8.2)。
Q占有改定で即時取得は成立する?+
成立しない。即時取得は占有の外観を信頼した者を保護する制度であり、占有改定では外観上の変化がないため「占有を始めた」(192条)に当たらない(最判昭35.2.11)。指図による占有移転も同様で、現実の引渡しが必要である。
Q抵当権者は賃料債権に物上代位できる?+
できる(最大決平元.10.27)。ただし払渡し前に差押えが必要である(304条1項但書)。転貸賃料債権には原則として物上代位できないが、賃借人を所有者と同視できる場合は例外的に認められる(最決平12.4.14)。