CIVIL LAW
袋地通行権(210条・211条・213条)と自動車による通行の可否(最判平18.3.16)
袋地通行権と自動車による通行の可否は、民法(物権)の論点です。他の土地に囲まれて公道に出ることのできない袋地の所有者は、囲繞地を通行しうるか。分割によって生じた袋地の特則(213条)と、自動車による通行の可否が問題となる。 判例・通説の規範は「【袋地通行権(210条・211条)の基本】」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和2年に問われています。
問題の所在
他の土地に囲まれて公道に出ることのできない袋地の所有者は、囲繞地を通行しうるか。分割によって生じた袋地の特則(213条)と、自動車による通行の可否が問題となる。
規範(判例・通説の定式)
【袋地通行権(210条・211条)の基本】
袋地の所有者は、公道に至るため囲繞地を通行できる(210条1項)。通行の場所・方法は、通行権者のために必要であり、かつ囲繞地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない(211条1項)。
【分割によって生じた袋地の特則(213条)】
分割(又は土地の一部譲渡)によって袋地が生じた場合、袋地の所有者は分割された他の土地(残余地)のみを通行できる(213条1項)。趣旨:袋地発生の原因を招いた残余地の所有者が負担を負うべきであり、無関係な第三者の囲繞地に負担を課すべきでない。
分割によって生じた袋地が第三者に譲渡された場合も残余地に係る通行権は物的負担として存続するとする立場(最判平2.11.20・民集44巻8号1037頁)と、213条は当事者間のみに適用されるから通行権が消滅するとする立場がある。
【自動車による通行の可否(最判平18.3.16・民集60巻3号735頁)】
自動車による通行を認める必要性、周辺の土地の状況、通行権が認められることによる不利益等の諸般の事情を総合考慮して判断する。徒歩で公道に出る代替手段が確保されており、かつ囲繞地に著しい不利益が生じる場合には否定されうる。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
他の土地に囲まれて公道に出ることのできない袋地の所有者は、囲繞地を通行しうるか。分割によって生じた袋地の特則(213条)と、自動車による通行の可否が問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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出題実績と演習
よくある質問
Q他の土地に囲まれて公道に出ることのできない袋地の所有者は、囲繞地を通行しうるか。+
【袋地通行権(210条・211条)の基本】
Q「袋地通行権と自動車による通行の可否」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和2年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q177条の第三者とは誰のこと?+
当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう(最判昭25.12.19)。不法占拠者や無権利者は含まれず、物権変動を知りながら登記の欠缺を主張することが信義に反する背信的悪意者も含まれない(最判昭43.8.2)。
Q占有改定で即時取得は成立する?+
成立しない。即時取得は占有の外観を信頼した者を保護する制度であり、占有改定では外観上の変化がないため「占有を始めた」(192条)に当たらない(最判昭35.2.11)。指図による占有移転も同様で、現実の引渡しが必要である。
Q抵当権者は賃料債権に物上代位できる?+
できる(最大決平元.10.27)。ただし払渡し前に差押えが必要である(304条1項但書)。転貸賃料債権には原則として物上代位できないが、賃借人を所有者と同視できる場合は例外的に認められる(最決平12.4.14)。