CIVIL LAW
盗品・遺失物の回復請求(193条)と善意占有者の使用利益の帰属
盗品・遺失物の回復請求と善意占有者の使用利益の帰属は、民法(物権)の論点です。盗品等の「占有者」(193条)が、被害者から回復請求を受けるまでの期間、使用利益を保持しうるか。193条の効果(所有権の帰属)と189条・190条の関係が問題となる。 判例・通説の規範は「【193条の効果・原所有者帰属説(判例:大判大正10.7.8)】」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和3年に問われています。
問題の所在
盗品等の「占有者」(193条)が、被害者から回復請求を受けるまでの期間、使用利益を保持しうるか。193条の効果(所有権の帰属)と189条・190条の関係が問題となる。
規範(判例・通説の定式)
【193条の効果・原所有者帰属説(判例:大判大正10.7.8)】
193条の効果は、盗難等から2年以内に被害者等から回復請求を受けない場合にはじめて占有者が権利を取得する趣旨であり、回復請求を受けるまでは所有権は原所有者に帰属する(大判大正10.7.8・民録27輯1373頁)。
【使用利益の帰属と189条・190条の適用】
原所有者帰属説によると、善意占有者は189条1項により果実収取権を有し、回復請求を受けるまでの使用利益(使用料相当額)を保持しうる。本権に基づく訴えの提起により悪意占有者とみなされ(189条2項)、それ以降の使用利益を原所有者に返還する義務を負う(190条1項)。
【193条の「占有者」の範囲】
193条の「占有者」は192条の「占有を始めた者」(即時取得した者)に限らず、現に物を直接占有する者を広く指す。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
盗品等の「占有者」(193条)が、被害者から回復請求を受けるまでの期間、使用利益を保持しうるか。193条の効果(所有権の帰属)と189条・190条の関係が問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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出題実績と演習
よくある質問
Q盗品等の「占有者」(193条)が、被害者から回復請求を受けるまでの期間、使用利益を保持しうるか。+
【193条の効果・原所有者帰属説(判例:大判大正10.7.8)】
Q「盗品・遺失物の回復請求と善意占有者の使用利益の帰属」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和3年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q177条の第三者とは誰のこと?+
当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう(最判昭25.12.19)。不法占拠者や無権利者は含まれず、物権変動を知りながら登記の欠缺を主張することが信義に反する背信的悪意者も含まれない(最判昭43.8.2)。
Q占有改定で即時取得は成立する?+
成立しない。即時取得は占有の外観を信頼した者を保護する制度であり、占有改定では外観上の変化がないため「占有を始めた」(192条)に当たらない(最判昭35.2.11)。指図による占有移転も同様で、現実の引渡しが必要である。
Q抵当権者は賃料債権に物上代位できる?+
できる(最大決平元.10.27)。ただし払渡し前に差押えが必要である(304条1項但書)。転貸賃料債権には原則として物上代位できないが、賃借人を所有者と同視できる場合は例外的に認められる(最決平12.4.14)。