CRIMINAL LAW
業務妨害罪(233条・234条)における「業務」と公務の保護
業務妨害罪における「業務」と公務の保護は、刑法(各論(頻出論点))の論点です。公務員が行う公務に対する妨害行為について、業務妨害罪(233条・234条)が成立するか。権力的公務と非権力的公務の区別が問題となる。 判例・通説の規範は「【見解①:判例・多数説(公務の区別説)】」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和5年に問われています。
問題の所在
公務員が行う公務に対する妨害行為について、業務妨害罪(233条・234条)が成立するか。権力的公務と非権力的公務の区別が問題となる。
規範(判例・通説の定式)
【見解①:判例・多数説(公務の区別説)】
公務も業務妨害罪の「業務」に原則として含まれる。ただし、強制力(自力排除力)を有する権力的公務については、公務員自身が妨害行為を排除できるため、威力による妨害(234条)には業務妨害罪は成立しない。一方、偽計による妨害(233条)は自力排除力がないため、権力的公務にも業務妨害罪が成立しうる。
【見解②:区別説(学説の一部)】
強制力を行使する権力的公務は業務妨害罪の「業務」に含まれない(妨害に対する自力排除力があるため保護の必要性が低い)。非権力的公務のみが「業務」として保護される。
偽計による妨害については、いずれの見解においても権力的公務への業務妨害罪の成立が肯定されうる(偽計には自力排除力が及ばないから)。
あてはめのポイント
あてはめ:①妨害の対象となる公務が、現に強制力(物理的実力行使の権限)を行使する段階にある「権力的公務」か、まだその段階に達していない「非権力的公務」かを特定する。②手段が威力(物理的強制・示威)か偽計(虚偽情報の利用)かを区別し、威力×権力的公務→業務妨害罪不成立(見解①)、偽計×公務→業務妨害罪成立、という結論の違いを導く。
補足
出典・著作権について
本論証集における判例の引用は、最高裁判所・各裁判所の公開判決文を出典とします。出題の趣旨の引用は、法務省公表文書を出所明示のうえ著作権法32条1項の引用の範囲内で使用しています。本論証集の表現・構成は独自のものであり、既存の予備校テキスト等からの転用は行っていません。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
公務員が行う公務に対する妨害行為について、業務妨害罪(233条・234条)が成立するか。権力的公務と非権力的公務の区別が問題となる。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
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出題実績と演習
よくある質問
Q公務員が行う公務に対する妨害行為について、業務妨害罪(233条・234条)が成立するか。+
【見解①:判例・多数説(公務の区別説)】
Q「業務妨害罪における「業務」と公務の保護」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和5年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q不法領得の意思とは何か?+
権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいう(最判昭26.7.13)。①権利者排除意思で使用窃盗と区別し、②利用処分意思で毀棄罪と区別する。嫌がらせ目的の隠匿は利用処分意思を欠き器物損壊罪の問題となる。
Q詐欺罪と窃盗罪はどう区別する?+
被害者の錯誤に基づく任意の処分行為(財物の交付)が介在すれば詐欺罪、占有者の意思に反して占有を取得すれば窃盗罪である。被害者が一時的に席を外しただけで占有の終局的移転の認識(処分意思)がない場合は、占有の弛緩にすぎず窃盗罪となる。
Q横領罪と背任罪はどう区別する?+
委託の趣旨に反して財物を自己の物として処分する行為(不法領得の意思の発現)であれば横領罪、委託関係に違背して本人に財産的損害を与える行為であれば背任罪である。名義と実質の両面で自己の計算で処分したか否かが基準となる。