CIVIL LAW
転貸賃料債権への物上代位(最決平12.4.14)
転貸賃料債権への物上代位は、民法(物権)の論点です。抵当権者は、抵当目的物の賃借人(転貸人)が転借人から受領すべき転貸賃料債権に対して、抵当権に基づく物上代位権を行使しうるか。 判例・通説の規範は「原則:転貸賃料債権への物上代位は不可(最決平12.4.14)。理由:①物上代位は物的責任を負担する者(抵当不動産の所有者)が有する債権に対してのみ行使可能、②賃借人(転貸人)は「債…」とされ、予備試験・司法試験の論文では令和5年に問われています。
問題の所在
抵当権者は、抵当目的物の賃借人(転貸人)が転借人から受領すべき転貸賃料債権に対して、抵当権に基づく物上代位権を行使しうるか。
規範(判例・通説の定式)
原則:転貸賃料債権への物上代位は不可(最決平12.4.14)。理由:①物上代位は物的責任を負担する者(抵当不動産の所有者)が有する債権に対してのみ行使可能、②賃借人(転貸人)は「債務者」に当たらず、転貸賃料債権は所有者の受けるべき金銭ではない。
例外:抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合には物上代位が認められる。具体的には、①賃借人と所有者が実質的に同一である場合、②物上代位権の行使を妨害する目的で転貸借関係が作出された場合など。
あてはめのポイント
あてはめ:転貸借がされた時期・賃料と転貸賃料の差額・債権者妨害の意図等の事情を総合し、「賃借人を所有者と同視することを相当とする場合」に当たるかを検討する。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
抵当権者は、抵当目的物の賃借人(転貸人)が転借人から受領すべき転貸賃料債権に対して、抵当権に基づく物上代位権を行使しうるか。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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出題実績と演習
よくある質問
Q抵当権者は、抵当目的物の賃借人(転貸人)が転借人から受領すべき転貸賃料債権に対して、抵当権に基づく物上代位権を行使しうるか。+
原則:転貸賃料債権への物上代位は不可(最決平12.4.14)。理由:①物上代位は物的責任を負担する者(抵当不動産の所有者)が有する債権に対してのみ行使可能、②賃借人(転貸人)は「債務者」に当たらず、転貸賃料債権は所有者の受けるべき金銭ではない。
Q「転貸賃料債権への物上代位」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和5年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q177条の第三者とは誰のこと?+
当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう(最判昭25.12.19)。不法占拠者や無権利者は含まれず、物権変動を知りながら登記の欠缺を主張することが信義に反する背信的悪意者も含まれない(最判昭43.8.2)。
Q占有改定で即時取得は成立する?+
成立しない。即時取得は占有の外観を信頼した者を保護する制度であり、占有改定では外観上の変化がないため「占有を始めた」(192条)に当たらない(最判昭35.2.11)。指図による占有移転も同様で、現実の引渡しが必要である。
Q抵当権者は賃料債権に物上代位できる?+
できる(最大決平元.10.27)。ただし払渡し前に差押えが必要である(304条1項但書)。転貸賃料債権には原則として物上代位できないが、賃借人を所有者と同視できる場合は例外的に認められる(最決平12.4.14)。