CRIMINAL PROCEDURE
公判前整理手続後の証拠調べ請求制限(被告人側)(316条の32・最二決平27.5.25)
公判前整理手続後の証拠調べ請求制限は、刑事訴訟法(公訴提起・訴因)の論点です。公判前整理手続を経た後に、被告人・弁護人側が新たな証拠調べを請求した場合(316条の32第1項)、裁判所はその請求を却下できるか。「やむを得ない事由」の解釈が問題となる(最二決平27.5.25)。 判例・通説の規範は「【失権効の内容(316条の32第1項)】」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成28年に問われています。
問題の所在
公判前整理手続を経た後に、被告人・弁護人側が新たな証拠調べを請求した場合(316条の32第1項)、裁判所はその請求を却下できるか。「やむを得ない事由」の解釈が問題となる(最二決平27.5.25)。
規範(判例・通説の定式)
【失権効の内容(316条の32第1項)】
公判前整理手続を経た後には、当事者はやむを得ない事由によって公判前整理手続において請求できなかったものを除き、新たな証拠調べを請求することができない(316条の32第1項)。
【「やむを得ない事由」の判断基準(最二決平27.5.25)】
①その証拠が公判前整理手続の段階において既に存在し提出可能であったか、②提出しなかったことに相当な理由があるか(証拠の発見困難・弁護活動の合理的経緯等)を考慮して判断する(最二決平27.5.25)。単に「弁護方針が変わった」「期待していた証拠が使えなくなった」等の理由のみでは「やむを得ない事由」には当たらない。
【被告人の防御権との調整(憲法37条)】
失権効は被告人の防御権を制限するものであるから、「やむを得ない事由」の解釈は被告人に不当な不利益を与えない範囲で適用される。新たな証拠が事後的に発見された場合(例:整理手続後に新たな証拠が存在することが判明した場合)には、「やむを得ない事由」が認められやすい。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
公判前整理手続を経た後に、被告人・弁護人側が新たな証拠調べを請求した場合(316条の32第1項)、裁判所はその請求を却下できるか。「やむを得ない事由」の解釈が問題となる(最二決平27.5.25)。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
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出題実績と演習
よくある質問
Q公判前整理手続を経た後に、被告人・弁護人側が新たな証拠調べを請求した場合(316条の32第1項)、裁判所はその請求を却下できるか。+
【失権効の内容(316条の32第1項)】
Q「公判前整理手続後の証拠調べ請求制限」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
平成28年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は重要ランクです。
Q訴因変更が必要になるのはどんな場合?+
最決平13.4.11の枠組みでは、①審判対象の画定に必要不可欠な事実に変動があれば常に必要、②被告人の防御にとって重要な事実に変動があれば原則必要だが、審理経過に照らし不意打ちがなく認定事実が被告人に不利益でなければ例外的に不要となる。
Q公訴事実の同一性はどう判断する?+
基本的事実関係の同一性を基準とし、①両訴因の事実が両立しうるか(非両立性)、②両訴因に共通する部分があるか(共通性)を総合考慮して判断する。窃盗と盗品等有償譲受けのように非両立の関係にあれば同一性が認められやすい。
Q訴因変更の要否と可否の違いは?+
要否は、訴因と異なる事実を認定するときに312条1項の手続を経る必要があるかの問題で、防御権の観点から判断する。可否は、検察官の変更請求が「公訴事実の同一性を害しない限度」にあるかの問題で、基本的事実関係の同一性で判断する。