オンラインロースクールONLINE LAW SCHOOL

CRIMINAL LAW

名誉毀損罪(230条)の「公然」性の意義と伝播性の理論

賄賂罪出題年度:平成30

名誉毀損罪の「公然」性の意義と伝播性の理論は、刑法(各論(頻出論点))の論点です。特定少数人に対して事実を摘示した場合、名誉毀損罪(230条)の「公然と」に該当するか。「公然性」の意義と伝播性の理論の適用が問題となる。 判例・通説の規範は「【「公然」の意義】」とされ、予備試験・司法試験の論文では平成30年に問われています。

問題の所在

特定少数人に対して事実を摘示した場合、名誉毀損罪(230条)の「公然と」に該当するか。「公然性」の意義と伝播性の理論の適用が問題となる。

規範(判例・通説の定式)

【「公然」の意義】

「公然と」とは、不特定または多数人が認識し得る状態をいう(最判昭34.5.7)。「不特定」と「多数」は選択的関係にあり、特定少数人に対する場合でも伝播性の理論によって公然性が認められる場合がある。

【伝播性の理論】

特定かつ少数の者に対して事実を摘示した場合でも、その者からさらに不特定多数の者に伝播する可能性がある場合には、「公然と」の要件を充足すると解する(最判昭34.5.7)。

【批判説・限定解釈論】

伝播可能性という抽象的な危険のみで公然性を認めることは処罰範囲の不当な拡大につながるとして、①伝播が確実に予見できる場合に限るべきとする見解、②受領者の人数・性質・状況から具体的な伝播可能性を要求する見解がある。

補足

「たとえ行為者が摘示した事実を真実であると誤信した場合でも、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損の罪は成立しないものと解するのが相当である。」

関連判例

  • 最大判昭44.6.25(夕刊和歌山時事事件)

答案での書き方(法的三段論法)

  1. 1

    問題提起

    特定少数人に対して事実を摘示した場合、名誉毀損罪(230条)の「公然と」に該当するか。「公然性」の意義と伝播性の理論の適用が問題となる。

  2. 2

    規範

    上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。

  3. 3

    あてはめ

    問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。

  4. 4

    結論

    「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。

自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。

あわせて読みたい論点

この論点の前提になる論点や、対になる論点です。

さらに学びたい人へ(おすすめ教材)

この論点の理解を深める教材です。リンクにはアフィリエイトリンクを含みます(価格は変わりません)。

  • 書籍

    基本刑法Ⅱ 各論 ↗

    口述の刑事はこれと過去問と定石。出版社サイトの簡易問題集を2時間で1周できるまで回す。

  • 講座

    アガルート 短答過去問解析講座(憲法・民法・刑法) ↗

    司法試験・予備試験の全過去問・全選択肢の解説動画。動画で思考過程の誤りに気づけるので、全年度を判例六法にマーキングしながら回す作業を完走できる。

  • 講座

    アガルート 論証集の使い方講座 ↗

    論証集は書き換えず、5色に塗って可視化して使うのが基本。作成者本人が行間を説明する講座で、読みにくい部分の理解が進む。

  • 書籍

    判例六法(有斐閣) ↗

    短答の全過去問で出た条文・判例を全てマーキングし、知っている知識でも引く癖をつける。条文検索速度が上がり、論文・口述にも効く。

出題実績と演習

よくある質問

Q特定少数人に対して事実を摘示した場合、名誉毀損罪(230条)の「公然と」に該当するか。+

【「公然」の意義】

Q「名誉毀損罪の「公然」性の意義と伝播性の理論」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+

平成30年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。

Q不法領得の意思とは何か?+

権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいう(最判昭26.7.13)。①権利者排除意思で使用窃盗と区別し、②利用処分意思で毀棄罪と区別する。嫌がらせ目的の隠匿は利用処分意思を欠き器物損壊罪の問題となる。

Q詐欺罪と窃盗罪はどう区別する?+

被害者の錯誤に基づく任意の処分行為(財物の交付)が介在すれば詐欺罪、占有者の意思に反して占有を取得すれば窃盗罪である。被害者が一時的に席を外しただけで占有の終局的移転の認識(処分意思)がない場合は、占有の弛緩にすぎず窃盗罪となる。

Q横領罪と背任罪はどう区別する?+

委託の趣旨に反して財物を自己の物として処分する行為(不法領得の意思の発現)であれば横領罪、委託関係に違背して本人に財産的損害を与える行為であれば背任罪である。名義と実質の両面で自己の計算で処分したか否かが基準となる。