CONSTITUTIONAL LAW
移動の自由(22条1項・13条)の保障と制約の合憲性(帆足計事件・最大判昭33.9.10)
規範(判例・通説の定式)
【移動の自由の憲法上の根拠】
①22条1項に含まれる説:居住・移転の自由(22条1項)には、国内における移動の自由が含まれると解される(帆足計事件・最大判昭33.9.10参照)。
②13条の一般的自由の問題とする説:「移転」(22条1項)は生活の本拠の移転に限られ、一時的な移動は13条の一般的自由の問題とする。
【移動の自由の性質と審査基準】
移動の自由には、①伝統的な経済的自由としての側面に加え、②他者との意見・情報の交流を通じた人格形成に資するという精神的自由の側面もあると指摘される(最判昭60.1.22の伊藤裁判官補足意見参照)。精神的自由の側面を重視する場合→相応に厳格な審査が必要。
他方、①移動の手段(自家用車)を特定区域・特定時間帯に限って制限するにとどまり代替移動手段がある場合、②規制が住民の安全・安心な生活の確保という公共の福祉の要請に基づく場合→合理性の基準(目的と手段の合理的関連性)で足りるとする見解も有力。
補足
特定区域への自家用車による乗り入れを禁止する規制は、移動の自由に対する制約として、憲法22条1項に反しないか。移動の自由の憲法上の位置付けと審査基準が問題となる。
あてはめ:①移動目的が集会・講演会等の精神的自由に密接に関連する場合→より厳格な審査。②単なる観光・通過目的→経済的・生活的側面が強く合理性審査。より制限の小さい手段(特定道路への進入禁止・観光バスも含めた規制等)の検討が必要。
答案での書き方(法的三段論法)
- 1
問題提起
本件で移動の自由の保障と制約の合憲性が問題となる旨を、条文を引用して1〜2文で提起する。
- 2
規範
上の「規範」の定式を、判例名・条文とセットでそのまま書く。要件が複数ある場合は①②③と番号を振る。
- 3
あてはめ
問題文の事情を要件ごとに引用し、「〜という事情は…を意味するから、要件○を満たす」と評価を加える。数字・なお書き・当事者の具体的行動は必ず拾う。
- 4
結論
「したがって/よって」で要件充足と結論(成立・不成立、適法・違法、合憲・違憲)を一文で締める。
自分の答案がこの4要素に分解できているかは、AI答案添削で色分けして確認できます。
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出題実績と演習
よくある質問
Q「移動の自由の保障と制約の合憲性」は予備試験・司法試験で出題されていますか?+
令和2年の論文式試験で出題(または関連出題)されています。頻出度は標準ランクです。
Q規制目的二分論とは?+
職業の自由への規制を、国民の生命・健康への危険防止等を目的とする消極目的規制と、社会政策・経済政策を目的とする積極目的規制に分け、前者はより緩やかな制限では目的を達成できない場合に限り許容され、後者は著しく不合理であることが明白でない限り合憲とする枠組みである(最大判昭50.4.30)。
Q営業の自由は憲法で保障されている?+
職業の自由(22条1項)の一内容として保障される。職業選択の自由のみならず、選択した職業を遂行する自由(営業の自由)も同条で保障されるが、職業遂行の自由への規制は選択の自由への規制より制約の程度が低いため、より緩やかな基準で審査されうる。
Q財産権の規制はどう審査する?+
財産権は29条1項で保障されるが、2項の公共の福祉による制約に服する。規制立法の合憲性は、規制の目的・必要性・内容と、制限される財産権の種類・性質・制限の程度等を比較衡量して判断する(森林法違憲判決・最大判昭62.4.22)。
Q正当な補償(29条3項)は完全補償か相当補償か?+
完全補償説(客観的な市場価値の全額)と相当補償説(合理的に算出された相当な額)が対立する。判例は土地収用では完全補償を要求し(最判昭48.10.18)、農地改革では相当補償で足りるとした(最大判昭28.12.23)。規制の目的・性質に応じて判断されている。