予備試験 令和4年 知的財産法
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問題文
[知的財産法]
Xは、建売住宅の販売業用システムに係るデータベース(以下「Xデータベース」という。)を開発し、販売していた。Xデータベースは、開発費用として3億円、開発期間として2年間を掛け、Xの多くの従業員が関与し多大な労苦を重ねて建売住宅の情報を収集し、その社運を賭けて制作したものであった。また、Xデータベースにおいては、そのデータ対象(建売住宅)として、人気エリアであるA県内に実在する全ての2階建ての建売住宅約3万件が選択され、そのデータ項目として、販売開始年月日、坪単価、床面積、間取り、販売状況、住みやすさという各項目が選択され、これらの各項目がその順序で端末の画面上に表示されるように構成されていた。このうち、「住みやすさ」という項目は、駅からの距離、治安の良さ、公共施設の存在、買い物のしやすさなどを基に、実際に情報収集に当たったXのベテラン従業員のセンスと感覚により、社内での検討を経て、居住した場合の主観的な満足度の予想を5段階にランク付けしたものであった。また、Xデータベースは、これらの建売住宅が画面上に販売開始年月日の新しい順に表示されるように構成されたものであった。以上のような特徴を有する建売住宅のデータベースは、他府県のものも含め、これまで存在していなかった。
他方、Yは、Xデータベースを基にして、A県内の建売住宅の販売業用システムに係るデータベース(以下「Yデータベース」という。)を制作した。Yデータベースには、Xデータベースの建売住宅約3万件のデータから、販売開始年月日の新しい順に取り出した1万件分の建売住宅のデータが格納されており、そのデータ項目及びその画面表示上の順序は、Xデータベースにおけるそれと完全に一致していた。Yデータベースには、Xデータベースにはない最新の販売分として建売住宅500件のデータも格納されていたが、その500件のデータに係る「住みやすさ」の項目は、空欄になっていた。
Yは、Yデータベースを、Xデータベースが販売されていたA県及びその近郊の地域で、大々的に広告宣伝し、その販売活動を開始した。
以上の事実関係を前提として、以下の設問に答えなさい。なお、各設問はそれぞれ独立したものであり、相互に関係はないものとする。
〔設問1〕
Xは、「Xデータベースは、建売住宅についてこれまで存在していなかったものを、Xの従業員が多大な労苦を重ねて建売住宅の情報を収集して制作したものであり、建売住宅の選択、住みやすさ等の独自のデータ項目の選択及びそれらの画面表示上の順序に独自の工夫が凝らされているものであって、著作物性を有する。」と主張している。
Xの上記主張の妥当性について論ぜよ。
〔設問2〕
仮に、Xデータベースに著作物性があり、Xがその著作権を有するとした場合、YがYデータベースを制作する行為は、Xの著作権を侵害するものであるといえるか。
〔設問3〕
Xは、「仮にXデータベースに著作物性がなく、YがYデータベースを制作し販売した行為が、Xの著作権を侵害するものであるとはいえないとしても、このようなYの行為は、不法行為に当たる。」と主張している。
Xの上記主張の妥当性について論ぜよ。
〔設問4〕
Xは、Xデータベースの販売をPに任せることとし、Pに対して、Xデータベースの複製品を独占的に作成し販売することにつき許諾を与えた。その後、Pは、QがXデータベースの複製品(以下「Q製品」という。)を無断で作成し販売していることを発見し、Qに対し、Q製品の販売の差止め及びこれまでの販売分に係る損害賠償を請求した。これに対し、Qは、「そもそも利用権者にすぎないPは、Q製品の販売差止め及び損害賠償を請求することはできない。」と主張している。
仮に、Xデータベースに著作物性があり、Xがその著作権を有するとした場合、Qの上記主張の妥当性について論ぜよ。